東京都23区内でも住宅戸数が最多級を誇る世田谷区。
その一方で、空き家数が約5万戸と非常に多く、所有者には「どう対応すべきか」の判断が求められています。
空き家を放置すると近隣への影響・固定資産税の負担・防災リスクなどが増大します。
本記事では、世田谷区の最新空き家データや解体費用の相場、補助金制度も交えつつ、空き家を所有する方が“先手”を打つための情報をわかりやすく解説します。
世田谷区は今「空き家」が増えている?
東京都内でも有数の住宅地である世田谷区。
人口・住宅数ともに多いこの地域では、空き家数も非常に多く、所有者にとって無視できない問題となっています。
特に、空き家の放置は景観の悪化や老朽化による危険を招くため、正確な現状を把握することが解体・活用を検討する第一歩です。
最新の空き家率データ
世田谷区は住宅戸数が非常に多いため、空き家率は他区と比べて特別に高いわけではありませんが、#fbfb2aです。これは、放置空き家によるリスクも比例して高まることを意味しています。以下に、世田谷区の空き家に関する最新データをまとめました。
| 指標 | 数値 | 出典・備考 |
|---|---|---|
| 住宅総数 | 約520,000戸 | 世田谷区公式資料(都市整備ビジョン)より |
| 空き家数 | 約50,250戸 | 空き家率9.6%から推計 |
| 空き家率 | 約9.6% | 東京都平均約10.9%よりやや低い水準 |
| 放置空き家率 | 約4.41% | 東京都調査データより |
| 放置空き家数 | 約23,840戸 | 上記割合からの推計値 |
なぜ空き家が増えているのか
世田谷区で空き家が多く発生・増加している背景には、地域特有の事情や全国的な社会構造の変化が複雑に絡み合っています。
特に、高齢化の進行や相続問題、都市部ならではの解体の難しさが空き家放置を助長しているといえます。以下に主な要因を整理しました。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化と相続放棄 | 高齢の単身世帯が増加しており、所有者が施設入所や死去後、相続人が対応せず空き家化するケースが目立ちます。 |
| 売却・活用が困難 | 地価が高くても、老朽化や権利関係の複雑さにより売却・賃貸が進まず放置されることがあります。 |
| 解体のハードル | 隣接住宅が密集しているため、解体工事に高額な養生費がかかり、工事自体を先延ばしにするケースも少なくありません。 |
| 所有者不明問題 | 相続登記が未了で、実質的な所有者が不明なまま長期間放置されている物件も存在します。 |
世田谷区の解体補助金
世田谷区では、空き家の適切な管理や除却を促進するため、さまざまな制度や支援策を設けています。これらの施策を活用することで、所有者の経済的・実務的な負担を軽減し、空き家問題の解決に向けた第一歩を踏み出すことが可能です。
以下に、世田谷区が実施している主な対策事業をまとめました。
東京都 世田谷区 の補助金情報
木造住宅耐震化支援事業(除却)
| 事業・条令名 | 木造住宅耐震化支援事業(除却) |
|---|---|
| 制度の概要 | 世田谷区では、令和7年度末までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目指し、木造住宅への耐震化支援事業を行っています。 支援制度のご利用には、契約前に区への事前相談が必要です。 |
| 対象建築物の概要 | 【助成条件】 ・個人が所有する住宅であり、住宅のまま耐震改修工事等行うこと ・道路事業等(事業中に限る)の区域外の建築物であること ・建築基準法に著しく違反する部分がない建築物であること(除却工事を除く) ・住民税を滞納していないこと ・助成は、対象建築物一棟につき1回限りです ・増築を伴う場合には助成の対象とはなりません ・共有物である場合は、共有者の同意を得ていること ・区分所有である場合は、団体規約により定められた代表者又は過半の合意により選出された代表者であること ・区から勧告(耐震性なし)を受けていること (補足)詳しくは木造住宅耐震化支援事業パンフレット(昭和56年5月までに着工))の6ページをご覧ください(詳しくは自治体にお尋ねください)。 |
| 補助金額概要 | 除却工事の助成金額は次の1・2のいずれか低い額かつ、助成限度額は50万円。 1.除却工事に要する費用の2分の1の額 2.除却工事に係る建築物の延べ面積に1㎡当たりの単価27,000円を乗じて得た額 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 防災街づくり担当部 防災街づくり課 耐震促進 |
ブロック塀等撤去工事助成事業
| 事業・条令名 | ブロック塀等撤去工事助成事業 |
|---|
民間建築物アスベスト含有調査助成
| 事業・条令名 | 民間建築物アスベスト含有調査助成 |
|---|---|
| 制度の概要 | アスベスト含有調査(民間建築物の吹付け材について行うアスベスト含有の有無に係る調査)に要する費用の一部を助成します。 |
| 対象建築物の概要 | 1.平成18年9月30日以前に建築された民間建築物の吹付け材(吹付け材、吹付けロックウール、ひる石吹付など)であること 2.申請者が次のいずれかに該当すること ・区内にある助成対象建築物の所有者(個人・法人) ・区内にある助成対象建築物を管理する管理組合 3.アスベスト含有調査に「建築物石綿含有建材調査者」が実施し、専門の調査機関による分析を行なうこと 【注意事項】 ・リシン吹付け等の仕上塗材、断熱材や成形板等の調査は対象外です。 ・助成は対象建築物につき1回を限度とします。 ・助成金の交付決定前に実施済みのアスベスト含有調査は対象外です。 |
| 補助金額概要 | 助成要件に適合するアスベスト含有調査費用です。 1棟につき25万円を限度とします。 (注意)消費税相当額は助成対象外です。 (注意)千円未満の端数は切り捨てて助成します。 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 環境政策部 環境保全課 |
狭あい道路拡幅整備事業
| 事業・条令名 | 狭あい道路拡幅整備事業 |
|---|---|
| 制度の概要 | 家の建て替えや増改築を伴わない場合、工作物等の撤去費用などの一部について助成金を交付します。 |
| 対象申請者 | 助成金交付の申請ができる方は、建築主や土地所有者等(土地に関する所有権、借地権、その他権利を有するもの)のうち1名のみとなります。 建築主が所有者と異なる場合や、関係権利者が複数名いる場合などには、申請者以外の方から申請者への委任状(PDF:56KB)が必要となります。 |
| 対象建築物の概要 | 家の建て替えや増改築を伴わない場合、次のとおり撤去費用などの一部を助成します。 建築安全課狭あい道路拡幅整備担当職員が助成の対象となる塀などの工作物等を現地で確認していることが必要です。 職員が現地を確認した際に解体済などで工作物等が確認できない場合は、助成の対象外となります。また、過去の写真等で助成することはできません。 道路後退部分を区で拡幅整備工事を行う場合(無償使用承諾、寄付、整備等承諾)のみ、助成の対象となります。(詳しくは狭あい道路拡幅整備工事についてのページをご参照ください。) |
| 補助金額概要 | 【工作物の撤去】 門、塀、生垣、垣根等:5,000円/メートル 【隣地境界に沿ったブロック塀、万年塀等の撤去】 撤去に要した費用(撤去に伴う補修工事を含む)に相当する額。 上限200,000円。 (注意)隣地境界に沿った工作物とそれを支える基礎までが対象となります。道路に平行な工作物は対象外です。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 防災街づくり担当部 建築安全課 建築線・狭あい道路整備 |
不燃化特区における老朽建築物の除却・建替えのための支援策
| 事業・条令名 | 不燃化特区における老朽建築物の除却・建替えのための支援策 |
|---|
世田谷区の解体費用相場はいくら?
空き家対策として「解体」を選択する際に、最も気になるのが費用面です。
世田谷区のような都市部では、建物の構造や立地条件によって解体費用が大きく変動するのが実情です。この章では、建物構造ごとの費用目安や、費用が上下するケースについて詳しく解説します。
建物の構造別にみた費用目安
解体費用は建物の構造によって大きく異なります。
特に都市部ではRC造や鉄骨造の建物が多く、それに比例して解体費も高額になる傾向があります。
以下は、世田谷区で解体する際の構造別の坪単価相場と、30坪の建物を想定した概算費用です。
| 構造 | 坪単価目安 | 30坪の場合の概算費用 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 約5.5~7.5万円/坪 | 約165~225万円 | 建物密集地では高くなる傾向あり |
| 鉄骨造(S造) | 約8.0~10.0万円/坪 | 約240~300万円 | 工期・騒音対策などで費用増加も |
| RC造(鉄筋コンクリート) | 約10.0~12.0万円/坪 | 約300~360万円 | 地下構造があるとさらに高額に |
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は坪単価だけでなく、現地の条件によって大きく左右されます。
特に、世田谷区のように住宅が密集している地域では、工事環境の違いが費用に直結します。以下の表では、費用が高くなるケース・安くなるケースを主な要因別にまとめました。
| 要因 | 高くなるケース | 安くなるケース |
|---|---|---|
| 立地条件 | 前面道路が狭い、重機が入りづらい | 前面道路が広く搬出しやすい |
| 建物構造・状態 | RC造、老朽化で倒壊の危険がある | 木造、築浅で構造が単純 |
| 残置物の有無 | 家財やゴミが大量に残っている | 残置物が処分済・少ない |
| 隣家との距離 | 隣家と接していて養生が必要 | 敷地にゆとりがあり作業しやすい |
| 特殊対応の有無 | アスベスト含有建材の撤去など | 特別な対応が不要 |
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体工事は高額になりがちですが、工夫次第でコストを抑えることも可能です。
特に世田谷区のような住宅密集地では、費用の内訳や業者選びによって数十万円単位で違いが出ることもあります。
ここでは、解体費用を少しでも安く抑えるための実践的な方法をご紹介します。
相見積もりの重要性
解体費用を適正価格で依頼するためには、必ず「相見積もり(複数社から見積もりを取ること)」を行いましょう。解体業者ごとに見積もり額やサービス内容が大きく異なることがあり、比較せずに1社だけで決定するのはリスクが伴います。以下は、相見積もりの主な利点をまとめた表です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 適正価格の把握 | 2~3社以上から見積もりを取ることで、相場感をつかむことができる。 |
| 内訳の比較 | 処分費・養生費・重機使用料などの違いを確認できる。 |
| 価格交渉が可能に | 他社の見積もりを材料に、費用の見直しをお願いできる。 |
| サービス内容の差 | アスベスト調査・近隣挨拶など、付帯サービスも比較できる。 |
業者選びの注意点
解体工事の成否は「業者選び」にかかっているといっても過言ではありません。価格の安さだけで決めると、トラブルや追加費用の発生につながることもあります。信頼できる業者を見極めるために、以下のポイントを必ず確認しましょう。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 許可・登録の有無 | 解体工事業登録・産業廃棄物収集運搬業許可など、必要な資格を保有しているか。 |
| 見積書の明瞭さ | 費用項目が具体的に明記されており、不明瞭な「一式」表記が少ないか。 |
| 実績・口コミ | 地元での施工実績や、第三者評価(口コミ・評判)をチェックする。 |
| 近隣配慮の姿勢 | 事前の挨拶回り、作業中の騒音・振動対策などに積極的か。 |
| 保険加入の有無 | 万が一の事故に備えた損害保険・賠償責任保険に加入しているか。 |
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
世田谷区で空き家を所有している方にとって、解体や活用の判断は簡単ではありません。しかし、空き家の放置は資産価値の低下や近隣トラブルの原因になる可能性もあります。
区の支援制度や専門業者のサポートを活用することで、負担を軽減しながら前向きな対応が可能になります。
解体工事をご検討の方へ
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