東京スカイツリーを中心に再開発が進む墨田区。しかし、下町エリアには築年数の古い住宅も多く、空き家の増加が課題となっています。
特に、相続後に放置された家や高齢者世帯の移住によって、住宅が使われなくなるケースが目立っています。
この記事では、墨田区における空き家の現状や、解体費用の相場、利用できる補助金制度などを詳しく解説します。解体を検討している空き家の所有者に向けて、判断の参考になる情報をまとめました。
墨田区は今「空き家」が増えている?
墨田区では、東京23区の中でも比較的住宅密度が高い地域ですが、その一方で築年数の古い家屋も多く、空き家が着実に増加しています。
再開発が進むエリアと、昔ながらの住宅街とのギャップが広がる中で、老朽化した住宅の管理や処分が課題となっています。
最新の空き家率データ
総務省「住宅・土地統計調査」によると、墨田区の住宅総数は約174,530戸、そのうち空き家数は約3,780戸で、空き家率は11.75%です。この数値は23区内でも高めであり、墨田区における空き家の存在感の大きさがうかがえます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 住宅総数 | 約174,530戸 |
| 空き家数 | 約3,780戸 |
| 空き家率 | 11.75% |
特に、高齢化が進む地域や木造住宅が密集するエリアでは、放置された空き家が増えており、地域全体の安全性や景観にも影響を及ぼすリスクがあります。
なぜ空き家が増えているのか
墨田区で空き家が増加している背景には、いくつかの社会的・地域的な要因があります。
再開発が進む一方で、昔ながらの住宅街では高齢者世帯や相続放棄による放置が目立っています。
| 主な要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化 | 高齢者の入院・施設入居などで住まなくなるケースが増加 |
| 相続放棄・管理不能 | 相続人が遠方在住または費用面で放棄し、空き家化 |
| 老朽化住宅の集中 | 昭和築の木造住宅が多く、活用や修繕が困難 |
| ニーズの変化 | 狭小・古い家屋は現代の住生活ニーズに合わず、借り手・買い手がつかない |
このような要因が重なり、空き家が長期間放置されやすくなる構造が生まれています。
墨田区の解体補助金
墨田区では、空き家の発生を抑制し、地域の安全と環境を守るために、さまざまな対策を実施しています。主な取り組みは以下の通りです。
東京都 墨田区 の補助金情報
木造住宅耐震改修促進助成事業(除却)
| 事業・条令名 | 木造住宅耐震改修促進助成事業(除却) |
|---|---|
| 制度の概要 | 緊急対応地区(北部地域、本所三丁目、東駒形二丁目及び三丁目、横川二丁目)の木造住宅について、所有者等が行う除却に要する費用の一部を助成します。 |
| 対象申請者 | 対象建築物の所有者又は所有者の承諾を得ている者 |
| 対象建築物の概要 | ・墨田区内の平屋建てまたは2階建ての木造住宅で、昭和56年5月31日以前に着工されたもの【旧耐震】、または昭和56年6月1日から平成12年5月31日までに着工されたもの【新耐震】 ・主要構造部(柱や梁など)の過半が木造であること。 ・延べ面積の過半が住宅であること。 ・緊急対応地区内にある建物(北部地域、本所三丁目、東駒形二丁目及び三丁目、横川二丁目)であること。 ・【旧耐震】の場合は、有資格者(一級・二級・木造建築士)によって、耐震性が不足している(例「誰でもできるわが家の耐震診断」(一般社団法人日本建築防災協会)判定で7点以下または耐震診断(一般診断法または精密診断法(Iw=1.0未満))と判断された建物 ・【新耐震】の場合は、有資格者(一級・二級・木造建築士)によって、一般診断法または精密診断法により耐震性が不足している(Iw=1.0未満)と判断された建物 |
| 補助金額概要 | 【助成対象となる経費】 ・木造住宅の除却(解体)工事費 (外構(門や塀など)や残置物・地中埋設物の撤去処分に係る費用は対象外です。) 【助成額】 助成率:1/2 助成限度額:最大50万円 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 不燃・耐震促進課 |
老朽危険家屋除却費等助成制度(不良住宅を対象とした除却費の助成について)
| 事業・条令名 | 老朽危険家屋除却費等助成制度(不良住宅を対象とした除却費の助成について) |
|---|
老朽危険家屋除却費等助成制度(土地無償貸与を前提とした除却費の助成について)
| 事業・条令名 | 老朽危険家屋除却費等助成制度(土地無償貸与を前提とした除却費の助成について) |
|---|
緑のへい等設置補助金(沿道緑化)
| 事業・条令名 | 緑のへい等設置補助金(沿道緑化) |
|---|---|
| 制度の概要 | 快適な環境、安全なまちづくりにとって緑はかかせない役割を持っています。区では、まちにもっと多くの緑を増やすため、沿道緑化の助成事業を行っています。 |
| 対象事業・工事の概要 | 【以下のような場合は補助の対象となりません。】 ・法令に不適合な建築物に設置する場合及び条例または要綱に基づき設置する場合。 ・隣地との境界沿いに設置する場合(補助対象となるのは道路に面した沿道部分)。 ・沿道部分であっても、道路と緑のへいを遮るような構造物(フェンスを含む)を設置する場合。 ※生け垣の場合、透過率70%以上のフェンスであれば認めることができます。事前にご相談ください。 ・ブロック等の縁石の高さが45センチメートルを超える場合。 |
| 対象建築物の概要 | 新たに道路に面した沿道部分に、緑のへい(生け垣や植樹帯)を設置した方に、植え込み地の長さまたは面積に応じて、補助金を交付します(※注)。 【生け垣】 高さ1メートル以上の樹木を葉と葉が触れ合う間隔で列植したもの。 【植樹帯】 奥行き50センチメートル以上の植栽ますに葉と葉が触れ合う間隔で樹木を列植したもの。 ※注:国、地方公共団体及びその他の公共団体並びに分譲住宅の販売者、将来緑のへい等の適正な維持管理が困難と思われる者等を除きます。 |
| 補助金額概要 | 下記の額と緑化工事費(税抜き)、どちらか少ない額が補助金額となります。 ※ブロック塀等を取り壊した跡に緑のへいを設置した場合、1メートルにつき1万円加算されます。 【生け垣】 植え込み地の長さ1メートル(10センチメートル未満切捨て)につき2万円 (限度額40万円) 【植樹帯】 植え込み地の面積1平方メートル(10平方センチメートル未満切捨て)につき2万4千円 (限度額40万円) |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 環境保全課 緑化推進担当 |
民間建築物のアスベスト確認調査費助成
| 事業・条令名 | 民間建築物のアスベスト確認調査費助成 |
|---|---|
| 制度の概要 | 吹付け石綿またはアスベスト含有のおそれがある吹付けロックウールに関する分析調査費用を助成します。 必ず調査分析前に申請手続きをしてください。 |
| 対象申請者 | 墨田区内に建築物を所有する個人、中小企業基本法に定める中小企業者、学校法人、社会福祉法人、医療法人等(国、地方公共団体その他これに準ずる団体を除く。)、または分譲マンションの管理組合 |
| 補助金額概要 | 分析調査費用(消費税を除く。)の半額を助成します。助成金の限度額は10万円です。 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 環境保全課 指導調査担当 |
これらの制度をうまく活用することで、所有者の負担を軽減しながら空き家対策を前向きに進めることが可能です。
墨田区の解体費用相場はいくら?
空き家を解体する際に最も気になるのが「費用」です。
墨田区は住宅密集地が多く、立地条件によって費用が変動しやすい特徴があります。ここでは、建物の構造や大きさ別の費用目安、費用が高くなるケース・安くなるケースについて、具体的なデータを用いて解説します。
建物の構造別にみた費用目安
東京都における木造住宅の解体費用の相場は、以下のようになっています。これは墨田区でもほぼ同様の水準と考えられます。
木造住宅の坪数別・解体費用目安
| 坪数帯 | 坪単価目安 | 概算費用(目安) |
|---|---|---|
| 10坪未満 | 約6.3万円/坪 | 約63万円 |
| 10坪台 | 約7.4万円/坪 | 約111万円(15坪換算) |
| 20坪台 | 約6.6万円/坪 | 約165万円(25坪換算) |
| 30坪台 | 約6.1万円/坪 | 約183万円(30坪換算) |
| 40坪台 | 約5.9万円/坪 | 約236万円(40坪換算) |
| 50坪台 | 約5.9万円/坪 | 約295万円(50坪換算) |
| 60坪台 | 約6.0万円/坪 | 約360万円(60坪換算) |
| 70坪以上 | 約5.3万円/坪 | 約371万円(70坪換算) |
構造別の坪単価相場(参考)
| 構造 | 坪単価相場 |
|---|---|
| 木造 | 約5.5~7.5万円/坪 |
| 鉄骨造(S造) | 約8.0~10.0万円/坪 |
| RC造(鉄筋コンクリート造) | 約10.0~12.0万円/坪 |
墨田区では、木造住宅が多数を占めているため、30坪前後の木造家屋であれば180万円前後が一つの目安となります。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は建物の規模や構造だけでなく、現場の条件によって大きく変動します。墨田区のように住宅が密集している地域では、特に注意が必要です。以下の表に、費用が高くなるケースと安くなるケースを整理しました。
| 条件 | 内容 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| 残置物の有無 | 家具・ゴミなどが残っていると、その撤去費用が追加される | 高くなる |
| 前面道路の幅 | 重機が入れない狭小道路では手作業が増える | 高くなる |
| 隣家との距離 | 隣接建物が近い場合、養生・慎重な解体が必要になる | 高くなる |
| 地下構造の有無 | 地下室や杭などの処理が追加で必要になる | 高くなる |
| 整地の範囲 | 更地にする範囲が少なければコストを抑えられる | 安くなる |
| 解体時期 | 繁忙期(春・秋)を避けると割安な場合がある | 安くなる |
現場ごとに条件が異なるため、現地調査をもとにした正確な見積もりが不可欠です。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体費用は決して安くはなく、建物の規模によっては数百万円に達することもあります。
しかし、事前の工夫や業者の選び方次第で費用を抑えることは可能です。
相見積もりの重要性
解体費用を適正に抑えるうえで、最も効果的なのが相見積もりです。1社だけで決めると、高額な契約を結んでしまうリスクがあります。複数社に見積もりを依頼することで、価格の相場感がつかめるだけでなく、業者ごとのサービスや対応力の違いも見えてきます。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 費用の比較 | 同じ条件でも業者によって数十万円の差が出ることも |
| 提案内容の違い | 工事範囲や対応方法など、業者の考え方が比較できる |
| 説明の丁寧さ | 担当者の対応を見て、信頼性の判断材料になる |
| 不当な請求の防止 | 相場を知ることで、過剰な金額を見抜ける |
墨田区のように住宅密集地が多いエリアでは、条件によって費用の差が出やすいため、最低でも3社以上に見積もりを依頼することをおすすめします。
業者選びの注意点
解体工事は、ただ建物を壊すだけでなく「安全・適正・近隣配慮」が求められる専門業務です。費用面だけで業者を選ぶと、トラブルや追加費用の発生などのリスクが伴います。以下のチェック項目を参考に、信頼できる業者を選定しましょう。
| チェックポイント | 内容 |
|---|---|
| 許可・登録の有無 | 建設業許可、解体工事業登録の確認は必須 |
| 見積書の明細 | 「一式」ばかりではなく、項目ごとに明細が記載されているか |
| 現地調査の有無 | 現場を確認せずに出す見積もりは信頼性に欠ける |
| 担当者の対応 | 質問に丁寧に答えるか、説明が分かりやすいか |
| 近隣対応の方針 | 工事前の挨拶や騒音対策について説明があるか |
墨田区では狭い道路や隣接住宅が多く、近隣トラブルへの配慮も重要です。経験豊富で地域に理解のある業者を選ぶことが成功のカギです。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
墨田区では、空き家の増加が安全・防災・景観の観点から課題となっています。長期間放置すると「特定空家」として行政指導の対象になるリスクもあるため、早めの対応が重要です。
また、墨田区では除却補助や空き家活用支援など、所有者の負担を減らす制度も整備されています。費用に不安がある方も、相見積もりと補助金の活用を通じて、無理なく解体を進めることが可能です。
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