豊橋市では、少子高齢化・人口流出・住宅ストックの老朽化といった複数の要因から、空き家・放置空き家の課題が顕在化しつつあります。
所有されている空き家をそのままにしておくと、倒壊・火災・近隣トラブル・資産価値の低下といったリスクが増大します。
本記事では、豊橋市における空き家の現状、解体費用の目安、そして解体費用を抑えるためのポイント、さらに活用できる補助制度まで、解体検討中の所有者に向けてわかりやすく解説します。
豊橋市は今「空き家」が増えている?
愛知県南東部に位置する豊橋市では、人口減少や住宅の老朽化により、空き家の増加が深刻な地域課題となっています。
特に、市内の空き家率は13.53%と全国平均(約13.8%)とほぼ同等ながら、放置空き家は約7,920戸にのぼり、地域の安全や景観への影響も懸念されています。
最新の空き家率データ
豊橋市における空き家の実態は以下のとおりです。
住宅総数に対する空き家率は13.53%で、全国平均とほぼ同水準ですが、放置空き家の実数が非常に多く、地域としての対応が急がれています。
| 指標 | 数値(豊橋市) |
|---|---|
| 空き家率 | 13.53% |
| 空き家数(戸) | 23,760戸 |
| 放置空き家率(推計) | 4.51% |
| 放置空き家数(戸) | 7,920戸 |
| 総住宅数 | 175,580戸 |
放置された空き家は、台風や地震などによる倒壊リスクだけでなく、火災や不法侵入・景観悪化といった問題を引き起こす可能性があるため、所有者による早期の対策が求められています。
なぜ空き家が増えているのか
豊橋市で空き家が増えている背景には、社会的・経済的な要因が複数絡んでいます。
以下に、主な理由を表形式でまとめました。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化と単身高齢世帯の増加 | 高齢者が一人で暮らしていた住宅が、介護施設への入所や死亡により空き家化するケースが多い。 |
| 相続後の管理放棄 | 遠方に住む相続人が利用予定のない実家を放置し、管理されないまま空き家化することが増えている。 |
| 若年層の都市部流出 | 就職・進学を機に都市部へ転出した若者が地元に戻らず、実家が空き家となるケースが多い。 |
| 中古住宅の流通停滞 | 古い住宅の流通が進まず、需要の少ないエリアでは買い手がつかず空き家として残りがち。 |
| 解体・維持費用の負担感 | 解体や修繕に費用がかかり、売却や活用に踏み切れないまま放置される住宅が増加傾向にある。 |
このような多様な要因が重なり、豊橋市でも空き家問題が深刻化しています。
空き家の発生は「誰の責任でもない」ようでいて、結果的には所有者の負担が大きくなりがちです。
豊橋市の解体補助金
豊橋市では、空き家所有者が解体・活用・流通などの選択肢を取りやすくするために、次のような制度を整備しています。
愛知県 豊橋市 の補助金情報
豊橋市木造住宅解体工事費補助金
| 事業・条令名 | 豊橋市木造住宅解体工事費補助金 |
|---|---|
| 対象事業・工事の概要 | 「1.補助対象となる住宅」を一棟全てを解体する工事が対象となります。 (昭和56年6月1日以降に増築された部分については、当該部分を除外することができます) ※建築工事に係る資材の再資源化に関する法律に基づき、適正な分別解体、再資源化等を実施するものに限ります。 |
| 対象建築物の概要 | 次の各号のいずれにも該当する木造住宅 1.昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅 2.補助金交付申請時に延べ床面積30平方メートル以上のもの 3.下記のいずれかの診断により該当となったもの ・市の無料耐震診断(※1)の判定値が1.0未満と診断されたもの ・センター診断(※2)が80点未満と診断されたもの ・容易な耐震診断(※3)により倒壊の危険性があると判断されたもの ※1:豊橋市が実施する無料耐震診断 ※2:(一財)愛知県建築住宅センターが実施した地震対策現地診断 ※3:住宅・建築物耐震改修事業を活用した旧耐震基準の木造住宅の除却における耐震診断(令和6年1月30日付け国住市第40号) |
| 補助金額概要 | 解体工事費用の23%の額または30万円のいずれか小さい額を補助します。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築物安全推進課 |
豊橋市空家解体促進費補助金
| 事業・条令名 | 豊橋市空家解体促進費補助金 |
|---|---|
| 対象申請者 | ・豊橋市税を滞納していない個人であること。 ・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員でないこと。 ・空家の所有者であること。 ※ただし、空家が共有である場合は、当該空家の解体について共有者全員の同意があること。 |
| 対象建築物の概要 | 1.市内に存する1年以上使用されていない空家で、2分の1以上が居住の用に供されていたものであること。 ※ただし、空家が長屋又は共同住宅の場合は、全戸において1年以上使用されていないものであること。 2.個人が所有する空家であること。 3.所有権以外の権利が設定されていない空家であること。 4.当該建築物を管理すべき者の管理の及ばないもの。 上記1~4の条件をすべて満たした空家のうち、 ・住宅地区改良法第2条第4項に規定する不良住宅相当(別表1~2に掲げる住宅の評定区分に応じ、それぞれ定める評定項目及び評定内容に基づく評点を合算した評点が100点以上となったもの)の空家であること。 |
| 補助金額概要 | 解体費用の3分の2 上限50万円 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築物安全推進課 |
豊橋市ブロック塀等撤去費補助金
| 事業・条令名 | 豊橋市ブロック塀等撤去費補助金 |
|---|---|
| 対象事業・工事の概要 | ・撤去前であること(既に撤去されている場合は対象になりません) ・市内にあり、道路に面する高さ1メートル以上のブロック塀等をすべて撤去する工事 ・撤去後に再度ブロック塀等を設置しないこと(フェンス又は生垣等は可) ・敷地内の建築物の解体に伴いブロック塀等を撤去するものではないこと ※隣地との敷地境界線上のブロック塀等は、対象とはなりません |
| 対象申請者 | ・ブロック塀等を所有又は管理していること ・個人であること ・市税を滞納していないこと 注1)補助金を受けられるのは1敷地につき1回のみとなります。 注2)補助金を受けられるのは1年度に1回です。 |
| 補助金額概要 | 次の額の少ない方の額(上限10万円) ・撤去工事費×2分の1 ・単価×ブロック塀等の延長 補強コンクリートブロック塀、レンガ及び大谷石等の組積造の塀:5,000円/メートル その他これらに類する塀、万代塀等:4,000円/メートル |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築物安全推進課 |
豊橋市吹付けアスベスト対策事業費補助金
| 事業・条令名 | 豊橋市吹付けアスベスト対策事業費補助金 |
|---|
補助を受けるためには申請前に工事契約を行わないなどの条件があるため、事前に詳細を確認しておくことが大切です。
豊橋市の解体費用相場はいくら?
解体費用は、建物の構造や敷地の状況、残置物の量などによって変動します。
豊橋市を含む愛知県内の事例をもとに、一般的な構造別の費用目安と、費用が高くなる・安くなる要因について整理します。
建物の構造別にみた費用目安
解体費用は、建物の構造(木造・鉄骨造・RC造)によって大きく異なります。
構造が頑丈になるほど重機や手間が増えるため、費用も高くなります。
以下に、豊橋市を含む愛知県内での平均的な坪単価と、30坪規模での解体費用の目安をまとめました。
| 建物構造 | 坪単価の目安(円) | 30坪の解体費用例(円) |
|---|---|---|
| 木造 | 30,000〜40,000 | 約900,000〜1,200,000 |
| 鉄骨造 | 40,000〜60,000 | 約1,200,000〜1,800,000 |
| RC造 | 60,000〜80,000 | 約1,800,000〜2,400,000 |
さらに、木造住宅では延床面積が広くなるほど坪単価が下がる傾向があります。
| 延床面積 | 坪単価の目安(円) |
|---|---|
| 10坪未満 | 約60,000 |
| 10〜19坪 | 約62,000 |
| 20〜29坪 | 約55,000 |
| 30〜39坪 | 約49,000 |
| 40〜49坪 | 約48,000 |
| 50〜59坪 | 約46,000 |
| 60〜69坪 | 約44,000 |
| 70坪以上 | 約39,000 |
見積もりを取る際は、建物の構造・面積・立地条件などをもとに現地調査を依頼するのが正確な費用把握への第一歩です。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は建物の構造だけでなく、立地条件や建物の状態、周辺環境によっても大きく左右されます。ここでは、豊橋市内でもよく見られる「費用増加・削減」につながる代表的な要因を整理しました。
費用が高くなる主なケース
| 条件・要因 | 内容 |
|---|---|
| 重機が入りにくい立地 | 狭い道路や袋小路では重機の使用が制限され、手作業中心になり費用が増加します。 |
| 隣接住宅が密集している | 養生シート・防音・粉塵対策など追加の仮設工事が必要となりコストが上がります。 |
| 残置物が多い・分別が必要 | 家具・家電・ゴミなどの処分が別途費用として発生します。 |
| 地中埋設物の発見 | コンクリートガラ・浄化槽・井戸などが見つかると追加費用の原因になります。 |
| アスベスト使用の可能性 | 法規制により調査・除去・処分に大きなコストがかかります。 |
費用が安くなる主なケース
| 条件・要因 | 内容 |
|---|---|
| 重機が容易に進入できる敷地 | 作業効率が良く、短工期で済むためコストダウンにつながります。 |
| 残置物を事前に片付けている | 処分量が減り、産廃費用を節約できます。 |
| 解体面積が広く坪単価が下がる | 延床面積が広い住宅では、単価が下がる傾向があります。 |
| アスベスト非含有が確認されている | 調査・処理の工程が不要となり、コストを抑えられます。 |
現地の状況によって大きく費用が変動するため、事前の現地調査と詳細な見積もりが重要です。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
豊橋市で空き家の解体を検討する際、費用をできるだけ抑えるためには、いくつかの実践的な工夫が重要です。
特に「相見積もりの取得」と「信頼できる業者選び」は、無駄な出費を防ぐうえで不可欠なステップです。
相見積もりの重要性
解体費用は業者によって大きな差が生じることがあり、相見積もり(複数社からの見積もり取得)は、費用を抑えるうえで最も効果的な手段のひとつです。
豊橋市内でも、同じ30坪の木造住宅であっても、業者によって数十万円の開きが出ることがあります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 適正価格が分かる | 複数の見積もりを比較することで、相場より高すぎる・安すぎる業者を見抜ける。 |
| 不明瞭な項目が見つけやすい | 項目ごとの内訳を見比べることで、不要な請求や過剰な費用を発見しやすくなる。 |
| 業者の対応を比較できる | 対応のスピード、説明の丁寧さ、現地調査の有無なども比較ポイントとなる。 |
| 補助金対応の確認ができる | 補助金に詳しい業者であれば、申請書類の準備や申請サポートも期待できる。 |
見積もりは“現地調査込み”で取るのが基本です。
電話や写真だけでの概算見積もりは、後から追加費用が発生するリスクがあります。
業者選びの注意点
解体工事は、見えないリスクやトラブルが多いため、価格だけで業者を選ぶのは非常に危険です。豊橋市内でも、以下のようなポイントを押さえて業者選びを行うことが、安全で円滑な工事につながります。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 建設業許可・解体工事業登録があるか | 法令に基づいた工事を行うには、都道府県の登録や許可が必要です。許可番号を確認しましょう。 |
| 見積書が明確で詳細か | 工事項目・単価・数量が記載され、内訳が分かりやすい見積書が望ましいです。 |
| 近隣への対応や配慮があるか | 騒音・粉塵・振動の説明、事前のあいさつ回りなど、近隣トラブルを避ける姿勢があるか確認を。 |
| アスベスト処理の経験があるか | 築年数が古い建物ではアスベストの可能性があり、対応実績がある業者が安心です。 |
| 補助金に関する知識・実績があるか | 豊橋市の補助制度を活用するには、制度に詳しい業者だと申請手続きがスムーズです。 |
信頼できる業者かどうかを見極めるには、「許可」「説明力」「対応姿勢」「補助金対応」の4点が大きな判断材料になります。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
豊橋市では空き家率が13.53%、放置空き家は7,920戸にものぼり、今後も空き家の増加が懸念されています。放置された空き家は、倒壊・火災・衛生問題・景観悪化など、地域全体に影響を及ぼす可能性があります。
しかし、豊橋市には「空家解体促進費補助金」「木造住宅解体工事費補助金」などの支援制度が整っており、条件を満たせば最大50万円の補助を受けることも可能です。これらを上手に活用することで、解体費用の負担を大幅に軽減できます。
また、費用を抑えるには、相見積もりの取得と信頼できる業者選びが不可欠です。補助金申請に慣れた業者を選ぶことで、手続きもスムーズに進められます。
空き家を持ち続けることが不安であれば、早めの判断が重要です。補助金や制度を賢く活用し、安心・安全な住環境を維持するためにも、前向きに空き家対策を進めていきましょう。
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