平塚市は、湘南地域に位置し、程よい都市規模と自然環境、交通アクセスのバランスがとれた住みやすい町です。
一方で、住宅の老朽化や人口構造の変化に伴って、空き家化や管理不全となる住宅が増えていることが課題となっています。
使われていない住宅をそのままにしておくと、防災・防犯・景観の面でリスクが高まり、資産としての価値も損なわれる可能性があります。
本記事では、平塚市における空き家の現状、活用/除却の選択肢、そして解体・管理を検討するにあたっての実務的なポイントを、わかりやすく解説します。
平塚市は今「空き家」が増えている?
平塚市においても、空き家問題は年々深刻さを増しています。
高齢化や相続を機に住まれなくなった住宅が増え、地域の管理不全や景観・防災上の課題が顕在化しています。
神奈川県内における空き家率のランキングでも、平塚市は上位に位置しており、放置空き家の数も少なくありません。
最新の空き家率データ
平塚市は、神奈川県内の市区町村の中でも比較的空き家が多い地域です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 11.70% |
| 空き家数(戸) | 14,850戸 |
| 放置空き家率 | 3.70% |
| 放置空き家数(戸) | 4,700戸 |
| 住宅総数(戸) | 126,960戸 |
市内には約15,000戸近い空き家が存在しており、さらにその約3割にあたる4,700戸が放置状態とされています。適切な管理がされないまま年月が経過すれば、老朽化や倒壊リスク、衛生・治安の悪化といった問題を引き起こす可能性もあるため、今後の対策が急がれる状況です。
なぜ空き家が増えているのか
平塚市における空き家増加の背景には、全国的な傾向と地域特有の要因の両方があります。以下に、主な要因を整理しました。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化の進行 | 単身高齢世帯が増え、施設入居や死去により住宅が空き家化 |
| 相続の放棄・放置 | 相続人が市外に在住し、管理できずに放置される事例が多発 |
| 戸建て住宅の老朽化 | 昭和~平成初期の戸建てが更新されず、空き家となる |
| 住宅供給過多と需要減少 | 交通利便性の低いエリアでは中古住宅の流通が鈍化 |
特に、中心市街地から離れたエリアでは空き家が目立ちやすく、住宅の供給過多により市場での再流通が難しくなっている状況も見受けられます。
平塚市の空き家対策・補助金制度
平塚市では、空き家の管理・利活用・除却などに関して、複数の取り組みや制度を設けています。主な内容は以下の通りです。
神奈川県 平塚市 の補助金情報
木造耐震化促進事業(建替え除却工事)
| 事業・条令名 | 木造耐震化促進事業(建替え除却工事) |
|---|---|
| 制度の概要 | 耐震診断の評点が1.0未満の木造住宅を、当該敷地内で一戸建ての住宅又は兼用住宅に新築又は改築するために、すべて除却する工事をいいます。 ただし、申請年度と同年度に耐震診断を行っているものは対象外です。 |
| 補助金額概要 | 【補助対象事業費】 除却工事に要した費用(税込み) 【区分】 区分1 【補助率】 3分の1 【補助金額の上限】 一般世帯:360,000円 非課税世帯:500,000円 ・非課税世帯とは、申請者のいる世帯員全員について、申請を行う年度の前2年度分の市県民税が非課税の世帯です。 ・区分についての詳細は、耐震診断のページでご確認ください。 ・建替え除却工事に、区分2はありません。(借家等は、補助対象外です。) |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 施工業者について、市の指定は有りません。 |
| 問い合わせ先 | 建築指導課 |
ブロック塀等倒壊予防策補助金制度
| 事業・条令名 | ブロック塀等倒壊予防策補助金制度 |
|---|---|
| 制度の概要 | 平成30年6月に起きた大阪府北部を震源とする地震でブロック塀の倒壊により尊い命が失われました。倒壊したブロック塀等は危険なうえに避難や救助、消火活動の妨げになります。 東海地震や神奈川県西部地震などの大規模地震の切迫性が指摘されている今、地震災害時の被害を最小限に抑えるという減災の視点で、市民の安全を確保するために、危険なブロック塀等の倒壊予防策が必要です。 平塚市では、危険なブロック塀等の撤去を行う方に補助金を交付しています。 また、ブロック塀等の維持管理は、所有者・管理者の責務です。所有者・管理者のみなさんは、適切な管理に努めてください。 |
| 対象申請者 | ・補助対象となるブロック塀等の附属する一戸建て住宅又は兼用住宅の所有者又は居住者 ・市税を滞納していない者 |
| 対象建築物の概要 | 次の1から4までの全てを満たすもの 1.居住者がいる一戸建て住宅又は兼用住宅※1に附属するもの 2.道路(建築基準法に規定するもの。以下同じ。)に面するもの(隣地境界のものは、補助対象外です。) 3.道路面からの高さが80cm以上ある塀及び門柱※2 4.市職員が現地調査を行い、危険度「大」と判定したもの ※1:延べ面積の2分の1以上が住宅部分のものをいいます。 ※2:コンクリートブロック、コンクリ―トパネル又は石材等を用いて築造されたもの(コンクリートブロック塀、万年塀及び大谷石塀等をいいます。) 【補助対象外となる除却】 一戸建て住宅又は兼用住宅の除却、新築又は改築に併せて行うブロック塀等の除却 |
| 補助金額概要 | 【補助対象事業費】 1.補助対象事業費:危険なブロック塀等の撤去工事費※(税込み) 2.補助対象事業費(税込み)の上限:14,300円/m2 ※フェンス等の新設工事は対象外です。 【補助金額】 一般世帯:上記「補助対象事業費」の1と2の低い額の50%(上限15万円) 非課税世帯※:上記「補助対象事業費」の1と2の低い額の100%(上限30万円) ※非課税世帯とは、申請者のいる世帯員全員について、申請を行う年度の前2年度分の市県民税が非課税の世帯をいいます。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築指導課 |
平塚市の解体費用相場はいくら?
空き家を解体する際に気になるのが、費用の相場です。
解体費用は、建物の構造・大きさ・立地条件などによって変動します。
平塚市は神奈川県の中でも戸建て住宅が多い地域であり、比較的敷地面積も広めの住宅が多く、解体費用もケースによって大きく異なります。
建物の構造別にみた費用目安
平塚市における解体費用の目安は、神奈川県全体の相場を参考にするとわかりやすくなります。以下に、坪数ごとの平均的な解体費用の目安を示します。
| 坪数 | 坪単価の目安 |
|---|---|
| 10坪未満 | 約6.8万円/坪 |
| 10坪台 | 約7.1万円/坪 |
| 20坪台 | 約6.5万円/坪 |
| 30坪台 | 約6.1万円/坪 |
| 40坪台 | 約5.7万円/坪 |
| 50坪台 | 約5.6万円/坪 |
| 60坪台 | 約5.0万円/坪 |
| 70坪以上 | 約5.3万円/坪 |
たとえば、30坪の木造住宅を解体する場合、
30坪 × 6.1万円 = 約183万円 というのが概算費用となります。
実際の費用は、土地の形状や残置物の有無、周囲の状況(隣地との距離など)により変動します。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は一律ではなく、条件次第で大きく増減します。
特に平塚市のように住宅地と農地・山林エリアが混在する地域では、立地条件や周辺環境によって価格差が出やすい傾向にあります。以下のような要因によって、解体費用は高くなる場合と安くなる場合があります。
| 状況 | 費用が高くなる要因 | 費用が安くなる要因 |
|---|---|---|
| 立地条件 | 道幅が狭く重機が入れない、交通量が多い | 幅広い道路に面し、作業がしやすい |
| 残置物 | 家財道具や廃棄物が多い | 建物内部が空で片付いている |
| 建物構造 | 鉄骨造・RC造など頑丈な構造 | 木造で簡易構造の場合 |
| 特殊工事 | アスベストの処理が必要 | 特別な対応が不要な通常構造 |
| 整地・処分 | 外構(ブロック塀など)の撤去を含む | 建物本体のみの解体に限定する場合 |
事前に現地調査を受け、詳細な見積もりを複数の業者から取得することで、不要な費用の発生を防ぎ、予算に合った解体が可能になります。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
また、自治体の補助金を活用することで、実際の自己負担額が軽減できるケースもあります。
正確な費用を知りたい場合は、早めの見積り依頼を行うのがおすすめです。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体工事にかかる費用は決して安くありません。
しかし、いくつかのポイントを意識することで、同じ条件でも費用を抑えられる可能性があります。
平塚市内には大小さまざまな解体業者が存在するため、選び方や交渉次第で大きな差が出ることもあります。
相見積もりの重要性
解体工事を依頼する際には、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」が非常に重要です。
業者によって価格設定やサービス内容に差があり、同じ条件でも数十万円単位で差が出ることも珍しくありません。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 適正価格の把握 | 複数社の見積もりを比較することで、平均的な相場がわかる |
| コスト削減 | 他社の見積もりを基に値引き交渉が可能になることも |
| サービス比較 | 工期や対応範囲、説明の丁寧さなどを見て判断できる |
| トラブル回避 | 極端に高い・安い業者を避けることで失敗リスクを軽減 |
平塚市のように複数の業者が営業しているエリアでは、2~3社に見積もりを依頼し、価格だけでなく対応力や信頼性も含めて総合的に判断することが大切です。
業者選びの注意点
解体工事は、単なる「建物の取り壊し」ではなく、法令遵守・安全管理・近隣配慮など、多くの配慮が求められる作業です。信頼できる業者を選ぶことが、費用面・安全面・トラブル回避のすべてにおいて重要です。
| チェックポイント | 内容 |
|---|---|
| 許可の有無 | 建設業許可や産業廃棄物収集運搬業許可など、必要な許認可があるか |
| 契約書・見積書の明確さ | 工事内容・費用内訳・追加料金の条件が明確に記載されているか |
| 保険加入状況 | 労災保険や損害保険など、事故に備えた保険に加入しているか |
| 近隣住民への配慮 | 工事前の挨拶・騒音や粉じん対策などが丁寧に行われるか |
| 対応の丁寧さ | 問い合わせや説明への反応・対応が誠実かつ迅速かどうか |
特に住宅が密集している平塚市では、近隣トラブルの防止が極めて重要です。
価格だけでなく、「丁寧な対応をする業者かどうか」も重視して選ぶようにしましょう。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
平塚市では、空き家率が11.70%と高く、約14,850戸の空き家が存在しています。そのうち4,700戸(約3.7%)が放置空き家とされており、地域の安全性や景観維持の観点からも、早めの対応が求められています。
解体にかかる費用は条件により異なりますが、神奈川県全体の平均相場を参考にすれば、たとえば30坪の木造住宅で約183万円前後が目安となります。
補助制度をうまく活用することで、コストを抑えて安全に解体を進めることも可能です。
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