大阪府の東部に位置する八尾市では、住宅街の中に空き家が目立つようになり、地域における安全・衛生・景観面での課題が顕在化しています。
最新の統計によると、八尾市の空き家率は13.91%で、およそ7戸に1戸が空き家という計算になります。
この記事では、八尾市の空き家事情や解体費用の相場、補助制度の有無、そして費用を抑えるためのコツなどを詳しく紹介します。空き家の管理や処分に悩んでいる方に向けて、今後の判断に役立つ情報をお届けします。
八尾市は今「空き家」が増えている?
八尾市は住宅地が多く、長年住み続けてきた高齢者世帯や相続後に空き家化するケースが増えています。
放置された空き家は、地域の安全性や景観に悪影響を与えるため、対策が急務です。
最新の空き家率データ(八尾市)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 住宅総数 | 132,670戸 |
| 空き家数 | 18,460戸 |
| 空き家率 | 13.91% |
| 放置空き家数 | 5,710戸 |
| 放置空き家率 | 4.30% |
空き家率は全国平均とほぼ同水準ですが、放置空き家数が5,700戸以上と多く、実質的な管理不全空き家が大きな課題となっています。
なぜ空き家が増えているのか
八尾市における空き家増加の背景には、全国共通の課題と地域特有の事情が複合的に存在しています。以下に主な要因を整理しました。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化と独居世帯の増加 | 高齢者の死亡や施設入居によって空き家化するケースが増加 |
| 相続後の放置 | 相続人が住まない・管理しないため空き家のまま放置される |
| 建物の老朽化 | 修繕・建て替えコストの負担がネックとなり放置されやすい |
| 市街地の制限 | 再建築に不利な土地や狭い道路に面した住宅が多い |
| 空き家対策制度の周知不足 | 補助制度の存在を知らずに手をつけられない所有者が多い |
特に八尾市では、戦後に建てられた住宅密集地が多く、老朽化した住宅を解体・利活用する動きが遅れている点が空き家増加の一因となっています。
八尾市の解体補助金
八尾市では、空き家を放置することで生じる“倒壊・景観悪化・近隣環境悪化”などのリスクに対応するため、市が所有者向けの相談窓口・補助制度・流通促進策を設けています。
大阪府 八尾市 の補助金情報
八尾市木造住宅除却補助金
| 事業・条令名 | 八尾市木造住宅除却補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 八尾市では、八尾市内にある木造住宅の除却工事費用の一部を補助します。補助には、着手前に申請が必要です。事前に着手されますと補助の対象になりません。 なお、補助金を市から業者に直接支払い、除却に要した費用のうち、補助金を差し引いた額だけ支払う「代理受領」もできます。 ※補助利用をご検討いただいている方は申請前にご相談ください。 ※令和7年4月1日から、八尾市木造住宅除却補助金交付要綱が改正されます。 ※補助の条件、補助金額及び申請様式等が変わりますので、下記内容を十分ご確認の上申請等を行ってください。 |
| 対象建築物の概要 | ・昭和56年5月31日以前に建築されたもの。 ・所有者に市税の滞納がなく、課税所得金額が5,070,000円未満であること。 ・所有者の資産(預貯金及び有価証券の総額)が1,000万円以下であること。 ・木造住宅(一戸建て、長屋、共同住宅)で現在居住されているもの。※1 ・対象建築物の個人所有者であること。 ・地階を除く地上階数が2以下のもの。 ・住宅に供する部分の床面積が20平方メートルを超えるもの。 ・対象建築物の一棟をすべて除却すること。 ・耐震診断結果の評点が0.7未満のもの、または一戸建て住宅については「誰でもできるわが家の耐震診断」による評点が7点以下のもの、または「旧耐震基準の木造住宅の除却における容易な耐震診断調査票」において倒壊の危険性があると判断されたもの。※2 ・過去に八尾市木造住宅耐震改修補助金の交付を受け耐震改修を行ったものでないこと。 ・同一敷地内において、これまでに八尾市ブロック塀等安全対策補助金交付要綱に基づき補助金の交付を受けたことがないこと。 ※1:現在、空家の木造住宅についても、八尾市地域防災計画で位置づけている緊急交通路に面している、老朽化が著く要綱別表に掲げる判定基準において4項目以上該当する、または市長が必要と判断した等の条件を満たす場合は、補助金の対象となります。 ※2:「誰でもできるわが家の耐震診断」とは? 国土交通省住宅局監修、一般財団法人日本建築防災協会編集の「一般の住宅の所有者や居住者が簡単に行える診断方法」です。 |
| 補助金額概要 | 一棟につき400,000円とする。ただし、補助対象建築物が区分所有建築物である長屋住宅の場合にあっては、除却工事に要する額と400,000円に除却する戸数を乗じて得た額のいずれか低い額とする。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築部 住宅政策課 |
八尾市区分所有長屋住宅等除却補助制度
| 事業・条令名 | 八尾市区分所有長屋住宅等除却補助制度 |
|---|---|
| 制度の概要 | 八尾市では空き家対策の『解消』の取組みの一つとして、市内の居住その他の使用がないことが常態となっている区分所有長屋住宅等の除却工事に係る費用の一部を補助する制度を令和7年4月1日より実施します。 ※補助を受けるためには、事前の申請が必要です。 |
| 対象申請者 | 本市の市税に滞納がない者で、次のいずれかに該当するものとする ・補助対象空家の登記事項証明書に所有者として登録されている者 ・補助対象空家の登記事項証明書に所有者として登録されている者の相続人 ・補助対象空家の登記事項証明書に所有者として登録されている者及び相続人から補助対象空家の除却についての同意を受けた者 |
| 対象建築物の概要 | 昭和56年5月31日以前に建築された区分所有長屋住宅等で居住その他の使用がされていないことが常態であり、別表に掲げる判定基準による項目の該当数が4以上のもの |
| 補助金額概要 | 補助対象工事に要する費用と1戸につき400,000円のいずれか低い額 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築部 住宅政策課 |
八尾市ブロック塀等安全対策補助金
| 事業・条令名 | 八尾市ブロック塀等安全対策補助金 |
|---|---|
| 対象申請者 | 市内に存する補助対象ブロック塀等の所有者 |
| 対象建築物の概要 | ・高さが60cmを超え、不特定多数が利用する道路に面するもの (八尾市地域防災計画における一時避難場所に指定されている公園に面するものも可) ・下記表の左欄に掲げる点検項目について、右欄の内容に掲げる事項に適合するかどうか点検した結果、1つ以上不適合又は適合するかどうか不明な項目があること。 ※表の詳細は自治体ホームページをご確認ください。 |
| 補助金額概要 | ・撤去および改修の上限額20万円 ・撤去の限度額:撤去するブロック塀等の面積に基準額(8千円/平方メートル)を乗じた額 ・改修の限度額:改修後の軽量フェンス等の延長に基準額(1万5千円/m)を乗じた額 ※工事費用、撤去および改修の上限額、撤去および改修の限度額の合計のうち、最も低い額を補助額とします。 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築部 住宅政策課 |
八尾市既存建築物吹付けアスベスト分析調査事業補助金
| 事業・条令名 | 八尾市既存建築物吹付けアスベスト分析調査事業補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 八尾市では、吹付けアスベストの調査をされる建築物の所有者に対しての補助制度があります。 |
| 対象事業・工事の概要 | 【補助対象となる分析調査】 吹付けられた建材のアスベスト含有の調査。 (板状の建材は対象外です。) |
| 対象申請者 | 建築物の所有者または、管理組合。 (管理組合とは、共同住宅等区分所有の場合です。) |
| 対象建築物の概要 | 八尾市内の民間の建築物が対象です。 |
| 補助金額概要 | アスベスト含有の有無の調査及び含有量の調査に要した費用を補助。ただし、25万円を限度とします。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築部 審査指導課 |
八尾市の解体費用相場はいくら?
八尾市で空き家の解体を検討する際、まず把握しておきたいのが「どの程度の費用がかかるのか」という点です。八尾市単体での統計データは公表されていないため、大阪府の平均解体費用相場を参考に、建物の構造や規模別に目安を紹介します。
建物の構造別にみた費用目安(八尾市)
| 坪数帯 | 坪単価目安 | 概算費用(例) |
|---|---|---|
| 10坪未満 | 約6.1万円/坪 | 約61万円 |
| 10坪台 | 約7.3万円/坪 | 約110万円(15坪) |
| 20坪台 | 約6.2万円/坪 | 約155万円(25坪) |
| 30坪台 | 約5.7万円/坪 | 約171万円(30坪) |
| 40坪台 | 約5.8万円/坪 | 約232万円(40坪) |
| 50坪台 | 約5.5万円/坪 | 約275万円(50坪) |
| 60坪台 | 約5.2万円/坪 | 約312万円(60坪) |
| 70坪以上 | 約4.7万円/坪 | 約329万円(70坪) |
※費用目安は木造住宅の相場です。鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)の場合は1.5~2倍程度となることが一般的です。
※この費用表は「大阪府全体の平均相場」を基にしており、八尾市でも多くのケースで参考になります。
費用が高くなる・安くなるケース
八尾市は住宅密集地が多く、敷地条件や建物の構造によって解体費用に差が出やすいエリアです。
以下に、費用が増減する主な要因を整理しました。
| 要因カテゴリ | 費用が高くなるケース | 費用が安くなるケース |
|---|---|---|
| 立地条件 | 重機が入れない狭小地、私道に面している | 前面道路が広く重機搬入が容易 |
| 建物構造 | 鉄骨造・RC造、3階建て以上 | 木造・平屋建て |
| 残置物 | 家財やゴミが多く撤去作業が必要 | 残置物なしでスムーズな工事が可能 |
| 地中の状態 | 古井戸、地中基礎、浄化槽の撤去が必要 | 地中障害物なし |
| 近隣環境 | 隣家との距離が近く養生・騒音対策が必須 | 十分な距離があり施工しやすい |
現地の状況次第で数十万円の差が出る場合もあるため、現地調査を依頼したうえで見積もりを取得することが重要です。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
八尾市で空き家の解体を考える際、費用面の不安を抱える方も多いはずです。ですが、ちょっとした工夫や事前準備でコストを大きく抑えることが可能です。ここでは、実践しやすい節約ポイントを紹介します。
相見積もりの重要性
複数業者から見積もりを取る「相見積もり」は、費用を抑えるための基本かつ最強の方法です。
特に、1社だけで決めてしまうと、相場より高い金額を提示されるリスクがあります。
| メリット | 解説 |
|---|---|
| 相場を把握できる | 適正価格を理解しやすくなる |
| 作業内容を比較できる | 明細やサービス内容の違いが見える |
| 補助金対応の有無がわかる | 行政手続きのサポート有無もチェックできる |
| 値下げ交渉の材料になる | 他社の見積もりをベースに価格交渉できる |
費用だけでなく、対応力や信頼性も比較するのが成功のコツです。
業者選びの注意点
解体工事は、費用の大きさだけでなく「信頼できる業者選び」が非常に重要です。八尾市のような住宅密集エリアでは、近隣住民への対応や安全管理の丁寧さが特に求められます。
以下のチェックポイントを確認しながら、安心して任せられる業者を見極めましょう。
| チェック項目 | 解説 | 注意点 |
|---|---|---|
| 建設業許可の有無 | 解体工事業の許可を持っているか | 無許可業者は違法行為・不法投棄のリスクあり |
| 見積書の明細記載 | 「一式」表記ではなく項目ごとの詳細記載があるか | 不明瞭な見積もりは後から追加費用が発生しやすい |
| 現地調査の丁寧さ | 敷地・地中の障害物・近隣環境まで確認しているか | 雑な調査は正確な見積もりにつながらない |
| 近隣対応 | 工事前の挨拶・養生・騒音対策を行ってくれるか | 苦情・トラブルの原因になる場合も |
| 補助金制度への理解 | 行政の制度や申請に詳しいか | 申請ミスや制度漏れを防ぐために重要 |
価格が安いだけで選ぶのではなく、「説明力」や「安心感」で比較することが大切です。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
八尾市では、空き家率が13.91%、放置空き家率も4.30%にのぼり、地域にとって深刻な課題となっています。老朽化による倒壊リスクや景観悪化、害虫・不審者などの問題もあり、早めの対応が望まれます。
八尾市では、木造住宅の除却に関する補助制度や、空き家の利活用を促進する支援策が整っています。対象要件を満たせば、数万円~十数万円の補助が受けられる可能性があり、費用面の不安を大きく軽減できます。
空き家をどうするべきか迷っている方は、まずは「相見積もり」を取り、次に「補助制度の活用可否」を確認してみてください。
放置よりも「一歩踏み出すこと」が、将来的な負担を減らす最善の選択肢となるでしょう。
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