近年、全国的に「空き家問題」が深刻化していますが、大阪府吹田市も例外ではありません。便利な立地と住みやすい環境から住宅が多く立ち並ぶ吹田市ですが、その一方で、年々空き家の数が増加していることが確認されています。
空き家を放置することで、老朽化による倒壊リスクや防犯・衛生上の問題も懸念されており、解体や活用に向けた対応が求められています。
本記事では、吹田市における空き家の現状や、解体費用の相場、補助制度の有無などを詳しく解説します。
所有する空き家をどうするべきか悩んでいる方にとって、判断材料となる情報を整理しています。
吹田市は今「空き家」が増えている?
大阪府内でも屈指の住宅都市である吹田市。
しかしその一方で、近年は空き家の増加が目立つようになっています。
都市部に位置しながらも住宅数が多いため、人口構成の変化や高齢化の影響を受けやすい地域でもあります。
最新の空き家率データ
2023年時点の統計によると、吹田市の空き家率は12.03%とされており、空き家戸数は25,490戸にのぼります。
また、そのうち放置空き家の割合は5.84%、件数にして12,380戸と報告されています。
これは、大阪府内でも中程度の水準にあたりますが、住宅総数が約21万戸と多いため、放置空き家の絶対数は非常に高いレベルにあります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 12.03% |
| 空き家数 | 25,490戸 |
| 放置空き家率 | 5.84% |
| 放置空き家数 | 12,380戸 |
| 住宅総数 | 211,860戸 |
空き家の中には「賃貸・売却用」や「別荘などの二次的住宅」も含まれていますが、放置空き家は管理不全で老朽化が進みやすく、防災・防犯の観点からも大きな課題となっています。
なぜ空き家が増えているのか
吹田市で空き家が増加している背景には、複数の社会的要因が絡み合っています。
以下の表で主な要因を整理します。
| 主な要因 | 内容 | 吹田市における傾向 |
|---|---|---|
| 高齢化の進行 | 高齢者が施設に移る、または死亡後に住宅が空き家化 | 吹田市でも65歳以上の人口が増加傾向 |
| 相続放棄・放置 | 相続人が遠方に住んでいる/維持管理が困難 | 管理されない空き家が放置状態に |
| ライフスタイルの変化 | マンション志向、都市部回帰、核家族化など | 戸建て住宅の需要が相対的に減少 |
| 住宅供給の過多 | 過去に開発された住宅団地の老朽化 | 一部地域で空き家が密集する傾向 |
こうした背景が組み合わさり、吹田市では「空き家はあるが、使われない」状態の物件が年々増えているのが現状です。
吹田市の補助金情報
吹田市では、空き家問題の深刻化を受けて、さまざまな対策を講じています。
大阪府 吹田市 の補助金情報
吹田市既存民間木造住宅耐震改修補助金(除却)
| 事業・条令名 | 吹田市既存民間木造住宅耐震改修補助金(除却) |
|---|---|
| 制度の概要 | 新耐震基準が施行された昭和56年5月31日以前に建築主事の確認を受けて建築された木造住宅を対象に、耐震改修工事費や除却工事費の一部を補助する制度です。 令和7年度から限度額を増額しています。ご確認ください。 |
| 対象事業・工事の概要 | 【除却とは】 耐震性が不足する住宅を建替え等のために解体し、全て除去することをいいます。 【除却工事】 耐震性が不足する住宅の全部を除却する工事 |
| 対象申請者 | 個人の所有者 ※課税所得金額が507万円未満の方(除却工事を申請する場合は、課税所得金額が507万円未満で、資産が1000万円以下の方)に限ります。 |
| 対象建築物の概要 | 次の全てに該当する木造住宅 1.昭和56年5月31日以前に建築主事の確認を受けて建築されたもの 2.現在居住しているか、これから居住しようとするもの 3.耐震診断結果(評点)が1.0未満であるもの (除却工事を申請する場合は、「誰でもできるわが家の耐震診断」の結果が7点以下のものを含む。) |
| 補助金額概要 | 【除却工事】 次のうち、いずれか少ないほうの額 ・除却工事に要した費用の4/5 ・40万円※長屋、共同住宅は1棟につき40万円。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市計画部 開発審査室耐震担当 |
吹田市既存民間建築物アスベスト含有調査補助金
| 事業・条令名 | 吹田市既存民間建築物アスベスト含有調査補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | ※令和7年度末制度終了予定 |
| 対象申請者 | 対象となる建築物の所有者(区分所有建物にあっては、管理組合) |
| 対象建築物の概要 | ・吹付けアスベスト等※が施工されているおそれがある建築物 ・建築主事の確認を受けて建築されたもの ・調査に対し、国、大阪府、市その他の公共団体又は公共的団体の補助金等が交付されない建築物 ※吹付アスベスト等とは建築基準法で定められた「吹付アスベスト」及び「アスベスト含有吹付けロックウール」を指します。詳しくは下記パンフレット及び大阪府ホームページをご覧ください。 |
| 補助金額概要 | アスベスト含有調査に要した額(限度額250,000円) |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市計画部 開発審査 |
これらの制度を活用することで、空き家の適正管理や早期解体・活用がより現実的になります。補助金は予算の範囲内での交付となるため、早めの申請が推奨されます。
吹田市の解体費用相場はいくら?
空き家の解体を検討する際、まず気になるのが「費用」です。
吹田市は都市部に位置するため、一般的な大阪府内の平均相場が参考になります。
建物の構造別にみた費用目安
吹田市における解体費用は、大阪府内全体の平均相場に準じています。
建物の構造によって単価が異なるため、30坪の住宅を基準にした概算費用を以下にまとめます。
| 建物構造 | 坪単価の目安 | 30坪の解体費用概算 |
|---|---|---|
| 木造 | 約5.7万円/坪 | 約171万円 |
| 鉄骨造(S造) | 約7.2万円/坪 | 約216万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 約7.7万円/坪 | 約231万円 |
木造住宅は比較的構造が簡素であるため、解体費用が安く済みます。
一方で、鉄骨造やRC造は強度が高いため、重機の使用や手間が増え、費用も高くなる傾向があります。
なお、上記は建物本体の解体費用のみであり、以下のような費用は別途発生する場合があります。
- 残置物の撤去費用
- 整地・造成費用
- アスベスト除去費
- 行政手続き代行費(建築物除却届など)
現地の条件や付帯工事の有無により金額は大きく変動するため、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は建物の構造だけでなく、立地条件や残置物の有無などによっても大きく変わります。以下の表は、費用が増減する代表的な要因を整理したものです。
| 要因カテゴリ | 費用が高くなるケース | 費用が抑えられるケース |
|---|---|---|
| 立地条件 | 道幅が狭く重機が入りづらい/都市部密集地で養生が必要 | 道が広く搬出しやすい/周囲に十分なスペースがある |
| 建物の状態 | 老朽化が激しく手作業が多くなる/アスベストを含む場合 | 劣化が少なく解体作業がしやすい/アスベストなし |
| 敷地条件 | 地下構造物がある/斜面・段差がある | 平坦な土地で作業がしやすい |
| 残置物の有無 | 家財・ゴミが大量に残っており撤去が必要 | あらかじめ撤去・片付けが済んでいる |
| 付帯工事 | 庭木・外構・擁壁などの撤去がある | 建物本体のみで済む |
このように、同じ構造・広さの建物でも条件次第で数十万円以上の差が生じることもあります。現地調査をしてもらい、複数の業者に見積もりを依頼することが、適正価格での解体工事につながります。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体工事にはまとまった費用がかかりますが、工夫次第でコストを抑えることも可能です。
特に、複数業者から見積もりを取る「相見積もり」や、信頼できる業者選びが重要なポイントです。
相見積もりの重要性
解体工事における「相見積もり」は、複数の業者から見積もりを取り比較することで、費用や工事内容の妥当性を確認できる重要なプロセスです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 費用の相場が見える | 複数業者を比較することで、適正価格が判断しやすくなる |
| 工事内容の違いが分かる | 見積書の内訳を見ることで、作業範囲や対応姿勢に差が出る |
| 不要な工事項目を見極められる | 他社にない高額なオプションや項目の必要性を判断できる |
| 値引き交渉がしやすくなる | 他社の価格をもとに、条件交渉の材料として活用できる |
このように、相見積もりは費用削減と業者選定の精度向上の両面で非常に有効です。
見積もりを依頼する際は、現地調査を含む詳細な見積書を取り寄せましょう。
業者選びの注意点
解体工事の成否は、どの業者に依頼するかで大きく変わります。費用が安いという理由だけで選ぶと、後々トラブルにつながるケースもあるため、以下のポイントを押さえて業者を選定しましょう。
| チェック項目 | 確認内容・注意点 |
|---|---|
| 許可の有無 | 建設業許可、解体工事業登録、産業廃棄物収集運搬業の有無を必ず確認。無許可業者は法令違反の恐れあり。 |
| 見積書の明細 | 「一式」ではなく、項目ごとの詳細な記載があるか。残置物処理・整地費などが含まれているか確認。 |
| 説明の丁寧さ | 工事内容や法令手続きの説明が分かりやすく、質問にも誠実に答えてくれるかをチェック。 |
| 近隣配慮の姿勢 | 騒音・粉じん対策、挨拶まわりなど、近隣への配慮体制が整っているか。 |
| 実績と評判 | 自治体や解体工事ポータルでの掲載、口コミ、過去の実績などを参考にする。 |
特に「解体工事業登録」や「産廃の運搬許可」を持っていない業者に依頼した場合、不法投棄や近隣トラブルなどに発展するリスクがあります。
価格だけでなく、信頼性と対応力を重視することが、トラブルを避ける鍵です。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
吹田市は住宅都市として発展する一方で、空き家の増加という課題にも直面しています。空き家の放置は、防災・防犯・景観の観点からもリスクが高く、早期の対応が求められます。
一方で、吹田市では老朽住宅への解体補助や、空き家対策計画などを通じて、所有者の負担軽減と地域全体の安全性向上を支援しています。解体費用は構造や条件によって大きく異なりますが、相見積もりや信頼できる業者選びにより、コストを抑えることも可能です。
空き家を「どうするか」に悩んでいる方は、放置せずに早めの対応を心がけましょう。補助金制度や費用シミュレーターを上手に活用し、将来に向けた一歩を踏み出すことが大切です。
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