「国から空き家解体の補助が出るって本当?」そんなことを耳にした方もいらっしゃるでしょう。
しかし、国から個人に空き家解体費用の補助が支給されることはないので注意が必要です。
空き家解体での費用補助は国からはありませんが、自治体によっては支給されるため活用することで費用の負担を大きく減らせられます。
この記事では、空き家解体補助金の注意点や具体的な制度まで分かりやすく解説します。
空き家解体に関する補助金は国土交通省から直接受けられるわけではない
「空き家解体で国土交通省から補助金を支給される」「国が空き家解体費用の8割を負担してくれる」そんな事を耳にした方もいらっしゃるでしょう。
しかし、これらは誤った情報のためこの情報を鵜呑みにして解体を計画するのは止めましょう。
「国土交通省から個人に補助金が出る」ことはない
国や国土交通省から個人に対して、空き家解体などの補助金が出ることはありません。
では、なぜこのような情報が流れたのでしょうか?
これは、国土交通省の発表を誤った解釈で報道したことが発端となります。
国土交通省では、事業として空き家の活用や取り壊しを推進しています。
しかし、それは自治体向けであり、個人に対して直接補助する制度ではありません。
この誤った解釈から「国が直接補助してくれる」という話が広まったのです。
地方自治体向けに実施される空き家再生等推進事業
国土交通省が推進している事業として「空き家再生等推進事業」があります。
これは、居住環境の整備改善などを目的として、空き家の解体や活用に取り組む地方自治体を支援する制度です。
条件に適用した空き家の所有者へ解体費用の一部を助成する制度でもありますが、実際に助成金などを支給するのは地方自治体です。
国は、助成金を支給した地方自治体に、その費用の一部を交付金とし助成します。
国が直接支援するのは、あくまで地方自治体であり個人ではないのです。
また、空き家再生等推進事業は国土交通省の事業ですが、それを受けて助成金などを実施するのは地方自治体です。
そのため、個人が受けられる助成制度は地方自治体によって、その対象や助成率などが異なることや助成制度自体がない自治体もあるので注意しましょう。
自治体で支給される補助金などは、自治体のホームページや建築課などの窓口でも確認できます。
窓口で「空き家の解体で利用できる補助金はあるのか?」と問い合わせれば教えてもらえるので、住んでいる自治体に確認するとよいでしょう。
空き家に関して補助を受けられる3つの支援事業
ここでは、国が行っている空き家に関して補助を受けられる3つの支援事業を紹介します。
ただし、先述した通りこれは国が地方自治体に向けた支援事業です。
実際に地方自治体で実施されている制度とは異なるので注意しましょう。
国が支援している事業には、次のようなものがあります。
- 空き家再生等推進事業
- 空き家対策総合支援事業
- 空き家所有者情報提供による空き家利活用推進事業
それぞれ見ていきましょう。
空き家再生等推進事業
「空き家再生等推進事業」とは、居住環境の整備改善のために、空き家や不良住宅お解体や活用を取り組む自治体を支援する事業です。
空き家は、放置することで倒壊の危険性や衛生環境の悪化・犯罪・街の景観を損ねるなどの恐れもあり、解体や活用することが重要になります。
そのため、この事業では次のような取り組みをする自治体への補助をしているのです。
- 不良住宅や空き家の解体
- 空き家を地域交流施設にするなどの活用
- 空き家対策計画を実施するための空き家実態の把握費用
- 空き家の所有者特定のための費用
また、空き家対策の種類によって次の2つのタイプに分かれます。
- 除去事業タイプ:倒壊などの危険性のある空き家の解体に対して助成されるタイプ
- 活用事業タイプ:新規事業などで空き家活用に対して助成されるタイプ
除去事業タイプでは、不良住宅や空き家などを解体することで、防災性や防犯性を向上させることを目的として事業に対して支援があります。
一方、活用事業タイプは、空き家を活用した地域の活性化やコミュニティの推進・再生を図ることを目的とした事業に対して支援されるのです。
空き家対策総合支援事業
空き家対策総合支援事業とは、空家特措法を積極的に活用して空き家対策を総合的に進める自治体を支援する事業です。
空家特措法とは、空き家対策の推進に関する特別措置法のことをいい、生命や財産の保全や空き家活用を目的として制定された法律です。
この法律に基づき、空き家対策を計画し実施する自治体にその費用が助成されます。
住宅市場を活用した空き家対策モデル事業
住宅市場を活用した空き家対策モデル事業とは、空き家対策の加速化として自治体による空き家対策窓口の設置や人材育成・専門家との連携を支援する事業です。
また、民間企業による空き家をモデル的に活用する事業への支援に対しても、支給されます。
どんな場合に空き家支援事業で補助や助成を受けられる?
空き家支援事業の一環として地方自治体が用意する補助金や助成金は、自治体により内容が異なります。
ここでは、空き家支援事業で補助や助成を受けられる主な空き家対策について解説します。
空き家支援事業では、次のような空き家対策に対して支援を受けられるものが一般的です。
- 空き家の解体
- 空き家のリフォーム
- 空き家の取得
空き家の解体
倒壊の危険性の高い空き家の解体や、跡地の活用のためなど空き家を解体する場合に支援を受けられるものです。
特に、劣化が進み倒壊の危険性が増している空き家や耐震性に問題のある空き家では補助金などを受けられる可能性が高くなるでしょう。
空き家のリフォーム
空き家を活用するためのリフォームに対して補助金が支給される場合もあります。
居住用としてだけでなく、地域交流施設として活用する場合や新しい事業を営むためのリフォームでも適用できるものもあります。
空き家の取得
居住用や新規事業などで活用するために空き家を取得する場合、その取得費の一部を補助してくれる場合もあります。
空き家の補助金に関する3つの注意点
空き家解体費用に補助金を活用できれば、費用負担を大きく削れるものです。
しかし、補助金を活用するには注意しなければならない点もあります。
空き家の補助金に関する注意点としては、次の3つがあります。
- 具体的な内容は自治体に確認
- 空き家の状況次第で補助や助成を受けられないこともある
- 空き家解体を先送りすると特定空き家に指定されることがある
具体的な内容は自治体に確認
先述した通り、空き家対策支援事業は国の事業ですが、その一環として補助金の内容を決定し実際に補助してくれるのは自治体です。
そのため、自治体によって具体的な補助金の内容は異なります。
「国の事業だから適用できる」と思っていても、自治体が実施していなければ補助金を受けられないものです。
空き家解体を計画する前に、まずは自治体に補助金について確認するようにしましょう。
空き家の状況次第で補助や助成を受けられないこともある
空き家だからと言って、必ずしも解体費用の補助や助成を受けられるわけではありません。
空き家の状況次第では、適用条件を満たさずに補助金などが受けられない場合もあるのです。
具体的な適用条件は自治体により異なりますが、次のような要件があるのが一般的です。
- 空き家になった期間
- 一戸建て住宅や共同住宅・木造などの種類の指定
- 築年数の指定
- 倒壊レベルの指定
基本的に、築年数が古く耐震性に問題がある場合や倒壊レベルが危険と判断された場合は助成を受けられる可能性が高くなります。
倒壊レベルなどの規準は自治体により異なり、専門の診断士の診断が必要な場合や市役所などの担当者の確認だけで良い場合などさまざまなは判定方法があります。
倒壊レベルの判定など空き家の状況確認では、所有者の立ち合いが必要になるものです。
遠方に住んでいる場合は委任状での対応ができるかなども確認しましょう。
また、空き家の状態だけでなく所有者の条件によっても適用の可否が分かれる場合もあります。
所有者に対しては、次のようなことで判断されるのが一般的です。
- 税金の滞納の有無
- 所得や財産
補助金や助成金の税源は税金であるため、税金の滞納がないことは前提条件ともいえるでしょう。
また、補助金や助成金は経済的に苦しく解体費用が捻出できない場合に、支給されるものです。
所得が高い・預金や資産があるなど、経済的に余裕がある場合は支給対象外となる可能性が高くなります。
適用条件は自治体により異なるので、窓口などで確認するようにしましょう。
空き家解体を先送りすると特定空き家に指定されることがある
空き家をいつまでも解体せず放置していると「特定空き家」に指定される場合があります。
特定空き家とは、空家等対策の推進に関する特別措置法で指定される一定の要件を満たした空き家のことを言います。
空家等対策の推進に関する特別措置法は、2015年施行された空き家対策の計画実施や実態調査・活用促進などが可能になる法律のことを言います。
この法律によって特定空き家と指定される条件には次のようなものがあります。
- 倒壊や保安上危険と判断される状態
- 衛生上著しく有害と判断される状態
- 適切な管理がされておらず景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全にとって放置するのが適切ではない状態
特定空き家と指定されると、次のような措置が適用される可能性があるのです。
- 自治体による空き家改善指導
- 指導に従わない場合の勧告や罰金
- 固定資産税の優遇措置の適用廃止
- 解体強制代執行などの強制措置
特定空き家に指定された場合でも、指定の原因を取り除けば指定解除も可能です。
また、特定空き家に指定されることで解体補助金を申請できる場合もあります。
しかし、特定空き家に指定されてしまうと所有者にとって大きなデメリットになるため、空き家は適切に管理することが大事です。
空き家解体補助金に関する3つの具体例
ここでは、実際に自治体が支給する空き家解体補助金の具体例を見ていきましょう。
老朽危険空家除却費用の助成制度(東京都杉並区)
東京都杉並区では、老朽化に伴い倒壊の危険性が高い空き家解体工事費用の助成する制度として「老朽危険空家除却費用の助成制度」を設けています。
この制度では、特定空き家やそれに準じる判定されることで、解体費用の最大150万円(工事費用の80%)が補助されます。
空家等解体補助金(北海道苫小牧市)
北海道苫小牧市の空き家など解体補助金では、空き家や敷地内の建物を解体し更地に戻す場合に、最大50万円(工事費の50%)が支給されます。
ただし、前年の所得が220万円以下であることや解体工事事業者の指定などの条件があり、募集件数にも限りがあるので注意が必要です。
空き家活用リフォーム助成事業(福岡県久留米市)
福岡県久留米市では、空き家を活用し居住環境を良好にすることを目的とし、空き家のリフォームに対して補助金が支給されます。
この制度では、1年以上居住していない空き家を居住目的でリフォーム工事する場合、最大30万円(工事費の50%)が支給されます。
他にも、さまざまな助成金や補助金が自治体によって用意されているので、確認して解体計画を進めるとよいでしょう。
まとめ
国が行う空き家支援事業や自治体の解体工事費用の補助金・助成金についてお伝えしました。
国土交通省では空き家支援事業で、自治体の空き家対策費用を助成していますが、これは直接国が個人に支給するものではありません。
個人に支給されるのは、あくまで国の事業の一環として自治体がそれぞれ制定する補助金や助成金です。
そのため自治体によって対象や条件・助成額などが異なるので注意が必要です。
この記事を参考に、解体工事の助成金・補助金について自治体の制度を確認したうえで活用できるようにしましょう。
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