「解体工事会社ってどう選べばいい?」「解体工事会社が持っている資格って何?」そのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
解体工事会社には必須な資格から持っていたほうがいい資格や許可など、さまざま資格が関わってきます。
料金だけで判断してうっかり無許可の解体工事会社と契約してしまったということにもなりかねません。
適切な解体工事会社を選ぶためには、必要な資格や許可について理解しておくことが大事です。
この記事では、解体工事会社に必要な許可や資格について分かりやすく解説します。
解体業を行うのに必ず必要な許可
解体業として必要な許可は、次の2つのうちのいずれかになります。
- 建設業許可
- 解体工事業登録
建設業許可
そもそも解体業とは、建設工事の中の業務の一つのことを言います。
建築物や付随する設備などの全部や一部を取り壊すことを解体業というのです。
そのため、解体業を営むためには「建設業許可」が必要になります。
建設業許可とは、建設工事を請け負う会社が営業のために必要な許可のことです。
建設業といっても、建築や解体などさまざまな業種があります。
建設業許可は、土木や建築などの29種類に分類されており、解体業もその中の一つです。
建設業許可では、営業する業種ごとの許可が必要となる許可制度です。
そのため解体業を営む場合は土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業、解体工事業のいずれかが必要となります。
建設業許可は、営業所の所在地に応じて国土交通大臣か都道府県知事の許可が必要です。
- 2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合:国土交通大臣
- 1つの都道府県のみに営業所を設ける場合:都道府県知事
また、建設業許可には5年の有効期限があります。
5年ごとに更新が必要であり、更新していない場合許可が失効してしまうのです。
解体工事業登録
解体工事業登録とは、建設リサイクル法で定められた解体工事するための登録制度のことを言います。
この「解体工事業登録」があれば、工事金額が500万円未満のものは建設業許可がなくても解体工事できるのです。
一般的な木造住宅の解体工事では、500万円以上になることはあまりないため、中小規模の解体工事会社では、解体工事業登録が多いでしょう。
解体工事業登録は、営業する都道府県ごとに登録が必要となります。
例えば、東京都と千葉県で解体工事業を営む場合は、それぞれで登録しなければならないのです。
建設業許可と解体工事業登録の違いは以下の通りです。
建設業許可 | 解体工事業登録 | |
許可・登録 | 国土交通省または都道府県知事 | 都道府県知事 |
営業範囲 | 全国 | 登録した都道府県のみ |
請負金額 | 制限なし | 500万円未満 |
標識の掲示 | 必要 | 必要 |
更新 | 5年毎 | 5年毎 |
解体工事するには、解体工事の現場と営業所に建築業許可票か解体工事業登録票の掲示が必要になります。
掲示がない場合は違法工事と見なされ、罰金などが科せられるのです。
解体工事を依頼する前には、建設業許可か解体工事業登録があることを確認したうえで依頼するようにしましょう。
解体工事業登録に必要な要件
一般的な住宅の解体を依頼する解体工事会社の多くは、解体工事登録という場合が多いものです。
ここでは、解体工事業登録に必要な要件を見ていきましょう。
解体業登録に必要な条件には次のようなものがあります。
- 技術管理者の選任
- 欠格要因に該当しないこと
技術管理者の選任
技術管理者とは、解体工事で解体や機械操作・安全管理などを指導・監督する人のことを言います。
解体工事では、適切な廃棄物処理や施工管理のために工事現場に技術管理者が常駐することが必要です。
資格保有者
技術管理者となるには、次のいずれかの資格を有していることが必要です。
- 建設機械施工技士
- 土木施工管理技士
- 建築施工管理技士
- 建築士
- 技術士
- とび・とび工
一定以上の実務経験
また、次のような実務経験も必要になります。
- 大学または高校で土木工学等の学科を取得して卒業し、かつ卒業後に解体工事に関し2年間以上の実務経験を持っている。
- 高校または中学校で土木工学等の学科を取得して卒業し、かつ卒業後解体工事に関し4年間以上の実務経験を持っている。
- 解体工事に関して7年間以上の実務経験を持っている。
選任された技術管理者を変更する場合は、登録変更の届け出が必要になります。
欠格要件に該当しないこと
解体工事業登録するためには、次のような不適格な要因に該当しないことも必要です。
- 登録申請書や添付書類に偽造や、重要な事実の記載がない
- 解体工事業者としての適性を期待できない
- 解体工事業登録の取り消しから2年経過していない
- 解体工事業の業務停止を命じられ、停止期間を終えていない
- 建築リサイクル法に違反し罰金刑以上の刑罰を科せられ、その後2年経過していない
上記に該当する場合は、登録できません。
解体工事でもっているとよい許可
解体工事では必須となる資格や許可以外でも、持っているとよいとされる許可もあります。
あるとよい許可としは、次のようなものがあります。
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 産業廃棄物処分業許可
- 一般廃棄物収集運搬業許可
産業廃棄物収集運搬業許可
産業廃棄物収集運搬業許可とは、他人が排出した産業廃棄物の収集・運搬業を営むための許可のことを言います。
一般的には、解体工事で排出される産業廃棄物は、解体工事会社自身が排出したものと見なされるため、この許可がなくても運搬は可能です。
しかし、この許可があることで業者への信頼度は増すというメリットがあります。
産業廃棄物収集運搬業許可を得るためには、財務諸表の提出や欠格要件に該当しないこと、車両や施設などの設備を有していることなど、それなりの規準が必要です。
そのため、この許可を得ているということはその解体工事業者が一定以上の水準を満たしていることとも言えます。
ただし、解体工事業者が下請け業者として解体工事する場合は、元請け業者が排出者となります。
この場合は、下請けとして実際に工事するのが解体工事会社であっても、排出者はないので産業廃棄物の収集・運搬にはこの許可が必要になります。
産業廃棄物処分業許可
産業廃棄物処分業許可とは、他人が排出した産業廃棄物の処分業を営む場合に必要な許可です。
この許可も産業廃棄物収集運搬業許可同様に、一定の水準以上の会社でなければなりません。
また、この許可を得るためには産業廃棄物を処分するための十分な処理施設を保有しているということでも、自社で産業廃棄物の処分も可能です。
そのため、他の業者に産業廃棄物処理を依頼する必要がなくなる分、解体工事の効率化ができ費用が安くなる可能性があります。
一般廃棄物収集運搬業許可
一般廃棄物とは、可燃ごみや粗大込みなど一般家庭から排出されるごみのことを言います。
それに対して、事業に伴って排出される廃棄物が産業廃棄物となるのです。
一般廃棄物収集運搬業許可とは、産業廃棄物以外の一般廃棄物を収集・運搬を業として行うための許可のことを言います。
建物内のタンスやベッド・家電製品などは一般廃棄物に該当します。
解体工事に伴い、それらの一般廃棄物の処分も依頼する場合があるでしょう。
しかし、解体業者が一般廃棄物を収集・運搬するためにはこの許可が必要となるため、許可がない業者は別の業者に外注しなければなりません。
また、産業廃棄物収集運搬業許可を得ている業者であっても、一般廃棄物収集運搬業許可がなければ一般廃棄物は取り扱えません。
そのため、この許可のない解体業者に一般廃棄物の処理も依頼する場合は、外注する分費用が高くなる場合もあるのです。
解体工事業者がこの許可を持っていれば、自社で一貫して一般廃棄物の収集・運搬まで可能なため、作業の効率化ができ費用が安くなる可能性もあるでしょう。
解体工事における特定の作業で必要になる資格
解体工事では、重機の操作や専用装置での作業などさまざまな作業が発生するものです。
作業によっては、資格が必要になるものもあります。
解体工事の一部に作業で必要となる資格には、次のようなものがあります。
- 作業主任者
- 石綿作業主任者技能講習
- ガス溶接作業主任者
- クレーン運転士免許
- 運転技能講習
作業主任者
作業主任者とは、労働安全衛生法に基づいて作業を管理する人のことを言います。
解体工事では、高さ5m以上の足場の組み立てや鉄骨造建築物などの解体の場合、作業主任者が指示する必要があるのです。
作業主任者を取得するためには、3年以上の実務経験があることが必要です。
実務経験があればだれでも資格取得のための講習を受けられ、この講習の修了試験に合格することで取得できます。
石綿作業主任者技能講習
アスベストを取り扱うために必要となるので、石綿作業主任者技能講習です。
アスベストは、吸い込むことで健康に悪影響が出るため現在の建築では使用が禁止されています。
しかし、2004年の建材での使用が禁止されるまでは一般的に使用されていたため、古い建築物を解体する際にはアスベストの飛散が問題となるのです。
建築物にアスベストが使用されている場合は、解体工事での飛散防止対策などが必要となります。
そのため、解体工事でアスベストを取り扱う場合は、石綿作業主任者技能講習の修了者から作業主任者を選定する必要があるのです。
石綿作業主任者技能講習では、アスベストの健康被害や予防する措置・作業改善方法・法律などの知識を学び、講習終了後に修了試験に合格することで修了証を得られます。
ガス溶接作業主任者
鉄骨などの解体では、火花を飛ばして解体する作業を見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
鉄骨などの切断には、アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置と呼ばれる専用の装置が必要になります。
この専用の装置を取り扱うためには、ガス溶接作業主任者が必要なのです。
ガス溶接作業主任者は、ガスを使って金属の溶接や切断などを作業する場合の管理者として選任される人のことを言います。
ガス溶接作業主任者は、ガス溶接やアセチレン溶接装置の業務・法律知識などから出題される学科試験に合格することで取得できます。
ただし、合格の免許の申請には実務経験の証明書が必要となります。
クレーン運転士免許
一般的な住宅の解体作業でも、小型クレーンの操作が必要になる場合が多いものです。
5t未満のクレーンであれば、クレーン運転免許証は不要で、講習を受講することで操作できます。
技能講習センターなどで講習を受けられ、学科と実技の講習を受けることで修了後に操作可能です。
運転技能講習
解体工事では、鉄骨切断機やコンクリート圧砕機・解体用つかみ機など解体用の車両系建設機械も必要です。
これらの解体用車両の運転では、機械質量3t以上の運転操作には運転技能講習の受講が必要となります。
運転技能講習は技能講習センターなどで受講可能で、学科と実技の講習が必要です。
3t未満の車両であれば、小型車両系建設機械(解体用)運転特別教育を受けることで運転できます。
これらの許可証や修了証は更新期間が定められているものもあります。
解体工事会社はこれらの資格を適切に管理し、作業員に指導することが大事なのです。
また、解体工事を依頼する場合は、解体工事会社がどのような資格や許可を得ているのかは選ぶうえでの大事な判断材料になります。
資格の有無によっては、解体工事会社だけでは作業ができずに費用が高くなる可能性があるでしょう。
また、悪質な解体業者など必要な資格を保有せずに解体作業する会社もあるものです。
特に、解体費用の見積もりが相場よりもかなり安いという会社は、何かしら裏があるので注意しなければなりません。
解体工事会社では営業所ごとに、必要な資格は掲示されているものです。
安心して解体工事を任せるために、資格について確認したうえで、解体工事会社を選ぶとよいでしょう。
まとめ
解体工事業者に必要な資格についてお伝えしました。
解体工事業者では、「建設許可業」か「解体工事業登録」のいずれかが必須です。
また、作業に応じて必要となる資格もいくつかあります。
必要な資格や持っているとよい資格を有している解体工事業者なら、安心して作業を任せられるだけでなく、費用が安くなる可能性もあるのです。
この記事を参考に、解体工事業者に必要な資格を理解したうえで、資格の有無を確認し信頼できる解体作業会社を選べるようにしましょう。
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