堺市で空き家を所有している方の中には、「いつかは解体しなければ」と思いながらも、費用面や手続きの煩雑さから対応を先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか。
近年、全国的に空き家の増加が深刻化しており、堺市でも例外ではありません。
放置された空き家は、倒壊や治安悪化、固定資産税の増加といったさまざまなリスクを抱えます。
本記事では、堺市における空き家の現状、解体費用の相場、補助金制度などを分かりやすく解説し、空き家解体に向けた第一歩を踏み出すための情報を提供します。
堺市は今「空き家」が増えている?
堺市では近年、住宅が空き家として放置されるケースが増加傾向にあります。とくに高齢化や相続後の対応の遅れなどが影響し、管理されない住宅が増えているのが現状です。
最新の空き家率データ
堺市の空き家率は、大阪府内でも中位に位置し、全体として高い水準にあります。
以下の表にて、堺市の空き家の現状を確認しましょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 12.90% |
| 空き家数 | 約55,200戸 |
| 放置空き家率 | 5.19% |
| 放置空き家数 | 約22,200戸 |
| 住宅総数 | 約427,800戸 |
10戸に1戸以上が空き家であり、さらに2万戸超が「放置空き家」と推計されることからも、堺市の空き家対策は待ったなしの状況と言えるでしょう。
なぜ空き家が増えているのか
堺市で空き家が増えている背景には、いくつかの社会的・地域的な要因があります。単なる人口減少だけでなく、住宅の流通や相続の問題も大きく関係しています。
以下の表に主な原因を整理しました。
| 主な要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化と単身世帯の増加 | 高齢の親が住んでいた家を、相続後に使わずそのままにしているケースが増加しています。特に単身高齢者の死亡後、子世帯が他市に住んでいる場合などに空き家化しやすい傾向があります。 |
| 相続後の管理放棄 | 相続人が複数いる場合や、家を活用・売却する手間が大きいと、誰も管理せず放置されるケースが見られます。相続登記が未完了で手続きが進まない例もあります。 |
| 住宅流通の停滞 | 昔ながらの住宅や利便性の低い立地にある物件は、リフォーム費用がかさむため市場価値が低く、買い手がつかず空き家のままになりやすいです。 |
| 解体費用や売却準備の負担感 | 解体や整地、残置物撤去などにコストがかかるため、所有者が判断を先延ばしにする傾向があります。 |
堺市は都市化が進んでいる一方で、古い住宅が密集する地域も多く、特に「相続放置型」の空き家が目立ってきています。
堺市の解体補助金
堺市では、老朽化した住宅や空き家の除却・利活用を促進するため、解体・除却工事や転入・定住を支援する補助制度が整備されています。
所有者としては「どの制度が使えるか」「どれくらい補助が出るか」を早めに確認することで、解体費用の負担を軽減しやすくなります。次に、主な制度を整理します。
大阪府 堺市 の補助金情報
木造住宅の除却補助
| 事業・条令名 | 木造住宅の除却補助 |
|---|---|
| 対象申請者 | ・建物の登記名義人(又は固定資産税納税義務者) ・市税を滞納していない方 |
| 対象建築物の概要 | 【木造住宅】 一般財団法人日本建築防災協会「木造住宅の耐震診断と補強方法」の一般診断法又は精密診断法による診断で、評点が1.0未満のもの(※) |
| 補助金額概要 | 以下のいずれか低い額になります。 ・補助上限額50万円/戸または100万円/棟 ・除却費用の1/3 ・39,900円×延床面積(平方メートル)×1/3又は51,200円×延床面積(平方メートル)×1/3(※診断結果によって変わります) |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築都市局 開発調整部 建築防災推進課 |
危険ブロック塀撤去補助金
| 事業・条令名 | 危険ブロック塀撤去補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 不特定の人が通行可能な道・公園等に面する60センチを超える高さの危険なブロック塀等の撤去工事に対する補助制度です。 |
| 対象事業・工事の概要 | 道や公園等に面する危険ブロック塀等をすべて撤去する工事(ただし土留め部分は残すこともできます) |
| 対象建築物の概要 | 次の1から4までのすべてに当てはまる塀が補助の対象です。 1.不特定の人が利用する道や公園等に面しているもの 2.補強コンクリートブロック造(ブロック塀)又は組積造等のもの 3.高さが60センチメートルを超えるもの 4.危険なもの(点検表などで、塀の安全性が確認できなかったもの) |
| 補助金額概要 | 次の額を補助します。ただし、1,000円未満の端数がある場合は切り捨てた額となります。 下記のうち最も低い額で、敷地の接する道路毎の額となります。 ・150,000円 ・撤去する塀の長さ(m)×31,000円(基準額)×3分の2(補助率) ・撤去に要する費用×3分の2(補助率) |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築都市局 開発調整部 建築防災推進課 |
堺市密集住宅市街地整備促進事業木造住宅建替促進補助金
| 事業・条令名 | 堺市密集住宅市街地整備促進事業木造住宅建替促進補助金 |
|---|---|
| 対象申請者 | 老朽木造住宅の除却を行おうとする建築物を所有する者又は 老朽木造住宅の除却を行う建物の存する土地の所有者(当該建物を収去する権能を授与する 旨の民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第171条第1項の決定を有する者に限る。) |
| 対象建築物の概要 | ・昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅であると証明(※1)されるものであること。 ただし、昭和56年6月1日以降に増築又は改築された部分、堺市住宅・建築物耐震改修等補助金の交付を受けた建物及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第22条に規定する建築物の地震に対する安全性にかかる認定を受けた建物については除く。 ・住宅の用に供されている部分の面積を補助対象面積の2分の1以上有すること。 ・建物が差押処分、仮差押処分、処分禁止等の仮処分を受けていないこと。 (※1)固定資産評価証明書、登記事項証明書等により補助の要件となる建築年月日及び補助対象面積が証明されたものをいう。 |
| 補助金額概要 | 【補助率】 除却費の2/3 【補助金額】 下記1.~3.項目で算定した額のうち、最も低い額が補助金額となります。 1.除却に要する費用×補助率 2.除却建築物の延床面積(㎡)×単価×補助率(単価:12,000円) 3.補助の限度額(1棟あたり):300万円×補助率 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 建築都市局 都市整備部 都市整備推進課 |
堺市緊急交通路沿道危険ブロック塀等の撤去・軽量フェンス等設置工事等補助金
| 事業・条令名 | 堺市緊急交通路沿道危険ブロック塀等の撤去・軽量フェンス等設置工事等補助金 |
|---|---|
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
堺市住宅・建築物吹付けアスベスト対策事業補助金
| 事業・条令名 | 堺市住宅・建築物吹付けアスベスト対策事業補助金 |
|---|---|
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
堺市の解体費用相場はいくら?
堺市で空き家の解体を検討する際、最も気になるのが「実際にどれくらいの費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。
解体費用は、建物の構造や坪数だけでなく、立地条件や残置物の有無によっても大きく変動します。
建物の構造別にみた費用目安
堺市では、大阪府内全体の平均に準じた解体費用相場が見られます。
建物の構造によって坪単価が異なるため、まずは30坪の建物を基準にした概算費用を確認しましょう。
| 建物構造 | 坪単価の目安 | 30坪の解体費用概算 |
|---|---|---|
| 木造 | 約5.7万円/坪 | 約171万円 |
| 鉄骨造(S造) | 約7.2万円/坪 | 約216万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 約7.7万円/坪 | 約231万円 |
木造住宅が最も費用を抑えやすい一方で、鉄骨造・RC造は構造上の強度・工法の違いから費用が高くなる傾向があります。
なお、上記は建物本体の解体にかかる費用であり、残置物撤去・整地・申請代行などの費用は別途かかる場合があります。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は、単に建物の構造や坪数だけで決まるわけではありません。
敷地条件や搬出経路、残置物の有無など、さまざまな要因によって増減します。以下の表に、費用が高くなるケースと安くなるケースを比較して整理しました。
| 判定要因 | 費用が高くなるケース | 費用が安くなるケース |
|---|---|---|
| 接道・立地 | 前面道路が狭く重機が入らない、住宅密集地にある | 前面道路が広く、重機・トラックの出入りがしやすい |
| 建物の構造 | RC造や鉄骨造、基礎が深く堅牢 | 木造や小規模な平屋建て |
| 残置物 | 家財やゴミ、粗大ごみが大量に残っている | あらかじめ撤去・整理済み |
| 地中埋設物 | 地中に古い基礎・井戸・浄化槽がある | 地中に障害物がない |
| 作業環境 | 高低差がある、隣地との距離が近い、養生が困難 | フラットな土地で作業スペースが十分にある |
こうした条件は現地調査で初めて分かることも多いため、事前に現地を確認したうえでの見積もりを取得することが重要です。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体工事にかかる費用は、条件によって大きく変動しますが、実は事前の準備や業者選びによってコストを抑えることも可能です。
ここでは、堺市で解体を検討する空き家所有者が意識すべき2つのポイント「相見積もりの取得」と「業者選びの注意点」について解説します。
予算オーバーやトラブルを防ぐためにも、ぜひ押さえておきたい内容です。
相見積もりの重要性
解体工事では、1社だけでなく複数の業者から見積もりを取得する「相見積もり」を取ることが非常に重要です。以下の表に、その理由と効果を整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 適正価格の把握 | 複数社の見積もりを比較することで、相場を把握でき、過剰な請求を回避できます。 |
| 費用内訳の精査 | 各社で異なる「処分費」「人件費」「重機費」などの内訳を比較でき、コスト削減ポイントが見つかります。 |
| 値下げ交渉が可能に | 他社の見積もりをもとに交渉することで、より好条件を引き出せる可能性があります。 |
| 信頼性の確認 | 提案内容・説明の丁寧さ・対応の速さなどから、信頼できる業者を選別できます。 |
「1社の見積もりだけで即決」は後悔の元。相見積もりを通じて、価格だけでなく対応力や説明力を見極めましょう。
業者選びの注意点
解体業者は多数存在しますが、金額だけで安易に選んでしまうと、後々のトラブルにつながることもあります。安心して任せられる業者かどうかを判断するために、以下のポイントを確認しておきましょう。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 許可の有無 | 解体工事業登録や建設業許可を保有しているか。無許可業者は避けるべきです。 |
| 見積書の明細性 | 「一式」ではなく、処分費・養生費・諸経費など項目ごとの内訳が記載されているか。 |
| 現地調査の実施 | 図面や写真だけでなく、実際に現地を見てから見積もりを出しているか。 |
| 近隣への配慮 | 着工前のあいさつ、養生シート設置、騒音・振動対策など、周辺住民への配慮があるか。 |
| 担当者の対応力 | 質問への回答が明確かつ丁寧で、信頼感が持てるかどうか。 |
| 保険加入の有無 | 万一に備え、損害賠償保険などの加入状況を確認しておく。 |
解体は「壊すだけ」ではなく、“周囲との信頼関係”も大切な工事です。安心・納得できる業者を選びましょう。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
堺市に空き家を所有している方にとって、解体を含む活用・管理の判断は避けて通れない課題です。空き家は放置すればするほど老朽化が進み、倒壊リスクや近隣トラブル、税金面の負担も増えていきます。
幸い、堺市では木造住宅除却補助など、解体を後押しする制度が整備されつつあり、制度を上手く活用することで費用負担を抑えることが可能です。
また、相見積もりの取得や信頼できる業者選びを行えば、安心・納得のいく解体が実現できます。
早めの対応が、空き家問題のリスクを軽減し、資産の有効活用にもつながります。
解体工事をご検討の方へ
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