北九州市では、住宅の老朽化や居住者の変化を背景に、空き家が地域の課題として顕在化しています。市内には使われないまま残る住宅が一定数あり、管理負担や安全面への不安から、解体を検討する所有者も少なくありません。
特に、放置期間が長くなるほど維持費や近隣への影響が大きくなり、判断を先送りしにくい状況が生じます。
本記事では、北九州市で空き家の解体を検討している所有者向けに、空き家の現状データ、解体費用の相場、補助金制度、費用を抑えるための考え方を整理します。
北九州市は今「空き家」が増えている?
北九州市では、空き家が一定数存在しており、市としても対策を進めている状況です。解体を検討するうえでは、まず市全体でどの程度空き家があるのかを把握することが重要です。
ここでは、北九州市全体の空き家データを整理します。
最新の空き家率データ
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 15.97% |
| 空き家数 | 82,700戸 |
| 放置空き家率 | 5.33% |
| 放置空き家数 | 27,600戸 |
| 住宅総数 | 517,800戸 |
北九州市では、住宅総数517,800戸のうち82,700戸が空き家となっており、空き家率は15.97%です。
さらに、放置空き家は27,600戸(放置空き家率5.33%)とされ、管理が行き届いていない住宅も一定数存在しています。
なぜ空き家が増えているのか
北九州市で空き家が増えている背景は、空き家率と放置空き家率の数値関係から読み取れます。
空き家率は15.97%、空き家数は82,700戸と、市全体で見ても無視できない規模です。
さらに、放置空き家は27,600戸(放置空き家率5.33%)存在しています。
これは、一時的に空いている住宅だけでなく、次の活用や解体の判断が進まない住宅が一定数あることを示しています。
数値から読み取れるポイント
- 住宅総数517,800戸のうち約6戸に1戸が空き家
- 空き家82,700戸のうち27,600戸が放置状態
- 活用や売却に進めないまま残る住宅が一定数ある
このように、北九州市では「空き家が多い」だけでなく、「判断が止まっている空き家が存在する」点が特徴です。
放置期間が長くなるほど建物の劣化が進み、修繕費や安全面の負担が増えるため、結果として解体を検討する所有者が増える傾向につながっています。
北九州市の補助金制度
北九州市では、空き家対策の一環として、老朽化した住宅の除却や利活用に関する制度を設けています。解体を検討する際は、費用だけでなく「補助制度の対象になるかどうか」を事前に確認することが重要です。
福岡県 北九州市 の補助金情報
北九州市老朽空き家等除却促進事業補助金
| 事業・条令名 | 北九州市老朽空き家等除却促進事業補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 【老朽空き家等除却促進事業とは】 市民の安全で安心な居住環境の形成を図るため、市場流通が困難で倒壊や部材の落下のおそれ等がある危険な空き家の除却に要する費用の一部を補助する制度です。 補助金交付申請を行うためには、空き家の解体工事に着手する前にあらかじめ「判定依頼申出書」の提出が必要です。 1.「判定依頼申出書」の提出を受けた後、市が空き家の「市場での流通可能性」と「危険度」の判定を行います。 2.判定の結果、補助対象となった場合(原則、市場流通が困難かつ一定の危険度が認められる場合)のみ補助金交付申請が可能です。 3.補助金交付申請を行い、「補助金交付決定通知書」を受領したのちに解体工事に着手することができます。 判定の結果、補助対象外となった場合は、空き家の流通や活用に向けた支援を行います。(補助金交付申請はできません) なお、その後の空き家の流通や活用等の状況を確認するため、後日、フォローアップ調査を行いますのでご協力をお願いします。 |
| 対象申請者 | 次の(1)、(2)のいずれかに該当する者 1.老朽空き家等の所有者、又はその相続人 2.上記(1)の同意を得た者 |
| 対象建築物の概要 | 原則、次の(1)、(2)の要件をすべて満たす昭和56年5月以前に建築された老朽空き家 1.「市場での流通可能性」の判定により「市場流通が困難」と判定された空き家 2.一定の危険度が認められる空き家 |
| 補助金額概要 | 補助金の割合次の【1】【2】を比較していずれか低い額の3分の1以内 1.除却に要した額:解体工事業者との契約金額(家財道具の処分費等は除く・税抜き) 2.市が定める基準額:面積基準単価×延床面積(課税床面積) (注)面積基準単価重機解体(1平方メートル当たり15,000円)、手壊し解体(1平方メートル当たり24,000円) 上限額1棟あたり30万円 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市戦略局都市再生推進部空き家活用推進課 |
北九州市住宅・建築物耐震改修工事費等補助金(除却関連)
| 事業・条令名 | 北九州市住宅・建築物耐震改修工事費等補助金(除却関連) |
|---|---|
| 対象申請者 | ・建物所有者または所有者の同意を得て補助対象事業を行う者。 ・市税を滞納していないこと。 ・暴力団、暴力団員、並びに暴力団及び暴力団員と密接な関係を有する者でないこと。 |
| 対象建築物の概要 | 市内にある住宅で以下の要件を満たすもの ・昭和56年5月31日以前に建築又は工事着手されたもの ・2階建て以下のもの ・耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満であること ・新たに住宅を建設または新築戸建住宅を購入し、除去を行うことまたは、耐震性を有する中古の戸建住宅、共同住宅、賃貸住宅等に転居し除却を行うこと ・補助要綱、要領による |
| 補助金額概要 | 【除却工事費】 木造住宅1戸につき30万円(注)を上限とし、建替え等に伴う除却工事に要する経費の相当額又は当該除却工事に代えて耐震改修工事監理及び耐震改修工事を行う場合の経費の相当額のいずれか低い方の額に23.0%を乗じて得た額。 (注)消費税相当額は補助対象外です。 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 工事を依頼する事業者は市内事業者に限定します。ただし、申請者の事情により、やむを得ない理由がある場合は市外事業者も認めています。 |
| 問い合わせ先 | 都市戦略局指導部建築指導課 |
北九州市ブロック塀等除却工事費補助制度
| 事業・条令名 | 北九州市ブロック塀等除却工事費補助制度 |
|---|---|
| 制度の概要 | この制度は、地震等により倒壊したブロック塀等が、人命に危険を及ぼしたり、緊急車両の通行を妨げたりすることを防ぐため、危険なブロック塀等の除却を促し、地震等による災害を未然に防止することを目的に、除却に要する費用の一部を補助するものです。 |
| 対象事業・工事の概要 | ブロック塀等除却工事については、次のいずれかに該当するものであること。 ・危険なブロック塀等の全部(基礎の除却は任意)を除却する工事。 ・危険なブロック塀等で、除却後の高さを道路面から高さ0.4メートル以下に部分除却する工事。ただし、擁壁の上部、または建築基準法(昭和25年法律第201号)第42条に規定する道路内にあるブロック塀等については、全部を除却(基礎の除却は任意)する工事とする。 |
| 対象申請者 | 【補助対象者及び要件等】 ・市内にあるブロック塀等の所有者もしくは所有者の同意を得て補助対象事業を行う者、または分譲マンションの管理組合であること。 一団の土地と面する道路との間に設けられたブロック塀等を除却する者。 ・大規模な事業者以外の者であること。 ・市税を滞納していないこと。 ・暴力団、暴力団員、並びに暴力団及び暴力団員と密接な関係を有する者でないこと。 ・この補助対象事業について、国、地方公共団体等による他の補助金の交付を受けていないこと。 ・国または地方公共団体でないこと。 ・補助金の交付は、一団の土地につき一回限りとする。 ・ブロック塀等除却工事は、単独で行うものとし、その他建築工事等と一体的に行うものでないこと。 |
| 対象建築物の概要 | 危険なブロック塀等であること。 (注)危険なブロック塀等とは、道路に面するコンクリートブロックや、石、れんが等による組積造の塀で、道路面から1メートル(擁壁高さを含む)以上の高さを有するブロック塀等のうち、次のいずれかに該当するものをいう。 ア)損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となる恐れがあるもの。 イ)現行の建築基準法施行令(昭和25年政令338号)第61条または第62条の8で定める基準に適合しない可能性があるブロック塀等。 ウ)上記のほか、災害等の発生により倒壊の恐れがあり、かつ、通行人に対し危険な状態であると市長が認めたもの。 |
| 補助金額概要 | 危険なブロック塀等の除却工事 1.除却するブロック塀等の見付面積1平方メートルにつき10,000円を乗じて得た額の2分の1の額。 2.ブロック塀等の除却工事に要する経費(消費税相当額を除く)の2分の1の額。 【1】【2】のいずれか低い額(1,000円未満を切り捨て)を補助金として交付。 上限額は、150,000円とする。 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 工事等を依頼する事業者は市内事業者に限定します。ただし、申請者の事情により、やむを得ない理由がある場合は市外事業者も認めています。 |
| 問い合わせ先 | 都市戦略局指導部建築指導課 |
北九州市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助事業
| 事業・条令名 | 北九州市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助事業 |
|---|---|
| 制度の概要 | 全国的にアスベストによる健康被害が顕在化している中で、北九州市では、市民の安全・安心を確保するとともに、新たなアスベスト被害を未然に防止することを目的に、建築物に施工されている吹付けアスベスト等の除去工事等を行う建築物の所有者等に対して、分析調査費用や除去工事等の費用の一部を補助します。 |
| 対象事業・工事の概要 | 建築物に施工されている吹付けアスベスト等の除去工事等を行う建築物の所有者等に対して、分析調査費用や除去工事等の費用の一部を補助します。 (注)ご注意下さい! ・補助申請にあたっては、内容確認のため、市と必ず事前相談を行っていただきます。 ・アスベスト及びアスベスト含有ロックウールは、綿状のものに限り補助対象です。 ・解体を予定している建築物は、補助の対象となりません。 ・また、既に分析調査や除去工事等が完了している場合も補助の対象となりません。 |
| 対象申請者 | 補助対象建築物の所有者(分譲の共同住宅については管理組合などの団体等)で、下記の要件を満たすもの。 ・国、県及び他の公共団体から同様の補助金の交付を受けていないこと ・大規模な事業者(資本金3億円以上又は従業員300人以上の企業)でないこと ・暴力団員又は暴力団若しくは暴力団等と密接な関係を有する者でないこと ・市税を滞納していないこと |
| 対象建築物の概要 | 【分析調査】 吹付けアスベスト等が施工されているおそれのあるもの 【除去工事等】 吹付けアスベスト等が施工されているもの |
| 補助金額概要 | 【補助の内容】 ・アスベストを含んだ可能性のある吹付け建材の分析調査費用 ・アスベストを含んだ吹付け建材(綿状のもの)の除去、封じ込め又は囲い込みの費用 【補助金の額】 ・分析調査については、対象費用の10/10の額。ただし、25万円を上限とします。 ・除去工事等については、対象費用の2/3の額。ただし、120万円を上限とし、分析調査で補助金を受けた場合は、その額を控除します(合計120万円)。 (注)分析調査、除去工事等の対象費用には消費税相当額は含みません。 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市戦略局指導部建築指導課 |
補助金活用時の注意点
制度を活用する場合、特に重要なのが「着工前の手続き」です。
交付決定前に工事を開始した場合、補助対象外となるケースがあります。
また、次の点も事前に確認しておきましょう。
- 申請受付期間
- 対象区域や対象建物の条件
- 補助上限額
- 必要書類(登記事項証明書など)
北九州市では空き家対策計画に基づき制度を運用しているため、単なる費用補助ではなく、地域の安全確保を目的とした取り組みとして位置づけられています。制度の詳細は市公式サイトで確認したうえで、解体業者と相談しながら進めることが大切です。
北九州市の解体費用相場はいくら?
北九州市で空き家の解体を検討する際、多くの方が最初に気になるのは「実際にいくらかかるのか」という費用の目安です。
解体費用は建物の構造や坪数によって大きく異なりますが、相場を把握しておくことで見積りの妥当性を判断しやすくなります。
ここでは、構造別の費用目安と30坪住宅を想定した概算を整理します。
建物の構造別にみた費用目安
解体費用は、木造・鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造)など、建物の構造によって坪単価が変わります。
一般的に、構造が強固になるほど解体に手間や重機作業が必要となり、費用は高くなる傾向があります。
30坪前後の住宅を想定した目安は以下のとおりです。
| 建物構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合の概算費用 |
|---|---|---|
| 木造 | 約4.9万円/坪 | 約147万円 |
| 鉄骨造 | 約6.0〜7.0万円/坪 | 約180〜210万円 |
| RC造 | 約7.5〜9.0万円/坪 | 約225〜270万円 |
※木造の坪単価は30坪台の平均値(約4.9万円/坪)を参考
※鉄骨造・RC造は一般的な解体相場を加味した目安
例えば、北九州市内で一般的な木造住宅(30坪程度)の場合、本体解体費の目安は約147万円となります。
ただし、この金額は建物本体のみの概算であり、立地条件や付帯工事の有無によって増減します。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は、坪単価や構造だけで決まるわけではありません。
同じ30坪の住宅でも、立地条件や付帯物の有無によって最終的な金額は変動します。見積りを比較する際は、「なぜその金額になるのか」を理解することが重要です。
ここでは、費用に影響する主な要因を整理します。
解体費用が変動する主な要因
| 項目 | 費用が高くなりやすいケース | 費用を抑えやすいケース |
|---|---|---|
| 前面道路 | 道路が狭く重機が入らない | 重機が問題なく搬入できる |
| 作業環境 | 隣家との距離が近く手作業が増える | 作業スペースが確保できる |
| 付帯物 | ブロック塀・庭木・倉庫などが多い | 建物本体のみで付帯物が少ない |
| 残置物 | 家具・家電が大量に残っている | 事前に整理・処分している |
| 特殊処理 | アスベスト調査・処理が必要 | 特殊処理が不要 |
特に北九州市のように住宅が密集しているエリアでは、前面道路の幅や隣家との距離が費用に影響することがあります。また、残置物の整理は所有者側で対応できる場合もあるため、見積り前に片付けておくことで費用を抑えられる可能性があります。
坪単価だけで比較するのではなく、これらの要因がどの程度含まれているのかを確認することが、適正価格を見極めるポイントです。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
また、自治体の補助金を活用することで、実際の自己負担額が軽減できるケースもあります。
正確な費用を知りたい場合は、早めの見積り依頼を行うのがおすすめです。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体費用は決して小さな金額ではありませんが、事前の準備や業者選びによって負担を抑えられる可能性があります。北九州市のように住宅数が多い地域では業者数も多く、比較検討がしやすい環境にあります。
ここでは、解体費用を抑えるために押さえておきたい具体的なポイントを整理します。
相見積もりの重要性
解体工事は業者ごとに見積りの内訳や金額が異なります。1社だけで決めてしまうと、相場より高い金額で契約してしまう可能性があります。
複数社から見積りを取り比較することで、費用の妥当性を判断しやすくなります。
見積り比較時のチェックポイント
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 本体解体費 | 坪単価と総額が相場水準か |
| 付帯工事費 | 塀・庭木・倉庫の費用が含まれているか |
| 残置物処分費 | 別途追加になっていないか |
| 諸経費 | 内訳が明確に記載されているか |
| 追加費用条件 | 追加発生の説明があるか |
坪単価だけで判断するのではなく、「どこまで含まれている見積りか」を比較することが重要です。
業者選びの注意点
費用が安いという理由だけで選ぶと、後から追加費用が発生したり、近隣トラブルにつながることもあります。
信頼できる業者かどうかを確認することが、結果的に費用トラブルを防ぐことにつながります。
確認しておきたいポイント
- 解体工事業登録や建設業許可を保有しているか
法令に基づく資格の有無は必ず確認します。 - 北九州市の補助金制度を理解しているか
事前相談・交付決定前の着工禁止などの条件を把握しているかが重要です。 - 見積もり内容を具体的に説明できるか
付帯物や残置物、追加費用の可能性を事前に説明できる業者は信頼性が高まります。 - 近隣への配慮を行ってくれるか
解体前のあいさつや騒音・粉じん対策の説明があるかも確認ポイントです。
複数社を比較し、価格と対応力のバランスを見極めることが、納得のいく解体につながります。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
北九州市では、空き家率15.97%、空き家数82,700戸という現状があり、放置空き家も27,600戸存在しています。空き家は決して一部の問題ではなく、市全体で見ても一定規模の課題となっています。
解体を検討する際のポイントを整理すると、次のとおりです。
- 30坪の木造住宅であれば、本体解体費の目安は約147万円
- 鉄骨造・RC造は構造により180〜270万円程度が目安
- 立地条件や残置物の有無で費用は変動する
- 補助制度は事前申請が前提で、条件確認が重要
- 相見積もりにより適正価格を見極めることが大切
空き家は放置期間が長くなるほど、建物の劣化や安全面の不安が増え、結果として対応コストが高くなる傾向があります。費用の目安を把握し、補助制度や見積り比較を活用することで、無理のない形で解体を進めることが可能です。
まずは、自宅の構造や坪数を確認し、複数の業者から見積りを取得してみることが第一歩となります。
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