和泉市は、比較的暮らしやすさの高い地域です。
一方で、少子高齢化や住まいの多様化、ライフスタイルの変化などを背景に、使われなくなった家屋の「空き家」が増えつつあります。
特に所有者不明、または管理されにくい住宅は、防災・防犯・景観の面で近隣に影響を及ぼす恐れもあります。
本記事では、和泉市における空き家の現状、解体費用の目安、補助制度、解体を検討する際のチェックポイントなどをわかりやすく解説します。
和泉市は今「空き家」が増えている?
近年、全国的な人口構造の変化を背景に、空き家の増加が社会問題となっています。
和泉市でも、こうした全国的な流れを受けて、空き家の管理・除却を含めた総合的な対策を進めています。
市の「和泉市空家等対策計画」の制定や、定期的な空き家実態調査の実施などにより、空き家の実態把握と適切な対応が図られています。
最新の空き家率データ
和泉市における空き家の実態は、総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によって次のように報告されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 11.42% |
| 空き家数 | 9,580戸 |
| 放置空き家率 | 3.60% |
| 放置空き家数 | 3,020戸 |
| 住宅総数 | 83,900戸 |
空き家率は大阪府全体(16.12%)を下回っているものの、放置空き家が3,000戸以上と、今後の増加と管理不全化が懸念されています。
なぜ空き家が増えているのか
和泉市の空き家増加の背景には、全国的な要因と地域固有の事情が影響しています。以下の表に主な原因を整理しました。
| 主な要因 | 内容 | 和泉市における傾向 |
|---|---|---|
| 高齢化と単身世帯の増加 | 高齢者の転居・死亡後、住宅が空き家に | 郊外型住宅地に高齢住民が多く、相続後の放置も見られる |
| 相続問題 | 相続人が遠方居住・維持困難で管理できない | 大阪市・堺市など都市部への転居者が多く、実家管理が難しい |
| 建物の老朽化 | 築年数が古く再利用が困難 | 昭和50年代〜60年代に建てられた団地や戸建てが密集 |
| 市場価値の低下 | 売却困難・賃貸需要の減少 | 一部エリアで駅距離や利便性の面で需要が低迷 |
空き家が「手放すに手放せない」「管理するにも費用がかかる」といった、所有者の負担要因となっている現実が背景にあります。
和泉市の空き家対策・補助制度
大阪府 和泉市 の補助金情報
和泉市老朽危険空家除却補助金
| 事業・条令名 | 和泉市老朽危険空家除却補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 老朽化した危険な空家等の除却に要する費用の一部を補助します。 |
| 補助金額概要 | 補助金は1件あたり40万円(上限) |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市デザイン部 建築住宅室 住宅政策担当 |
和泉市木造住宅耐震除却補助金
| 事業・条令名 | 和泉市木造住宅耐震除却補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 令和7年度の受付を開始しました。 耐震性が不足する木造住宅の建替を促進するため、令和2年度から以下のとおり補助金の制度を創設しました。 |
| 対象申請者 | ・対象建築物の所有者 ・課税所得額が507万円未満の方 ・市税の滞納のない方他 (注意)上記は主な要件です。補助にあたっては他にも審査が必要な要件があります。 |
| 対象建築物の概要 | ・個人で所有されている木造の一戸建ての住宅・長屋、兼用住宅(住宅以外の用途部分については規模制限有) ・昭和56年5月31日以前に工事着手した建築物 ・所有者などが居住のために1年以上の期間使用していた建築物 ・耐震診断(注意1)の結果、耐震性が不足する建築物 (注意)耐震診断には所有者自身で簡易に診断できる診断方法もあります。一般社団法人日本建築防災協会サイト内の「誰でもできるわが家の耐震診断」をご参照ください。 |
| 補助金額概要 | 最大20万円(除却工事費の80%) (原則1棟あたり) (注意)門、塀、樹木等の除却費は補助対象外となります。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市デザイン部 建築・開発指導室 建築指導担当 |
解体・活用を検討する人向けチェックリスト
以下の項目に該当する場合は、和泉市の補助制度や空き家バンクを活用できる可能性があります。
ご自身の状況と照らし合わせてご確認ください。
| チェック項目 | 該当の有無 |
|---|---|
| 建物は著しく老朽化しており、倒壊の危険性がある | □ はい / □ いいえ |
| 空き家が長年使われておらず、住居としての機能を失っている | □ はい / □ いいえ |
| 解体後の土地活用(売却、駐車場転用など)を検討している | □ はい / □ いいえ |
| 空き家を他人に貸したり売ったりすることも選択肢にある | □ はい / □ いいえ |
| 自分では対応できないので、専門家に相談したい | □ はい / □ いいえ |
| 和泉市の補助金制度について、事前に申請できる時間的余裕がある | □ はい / □ いいえ |
3項目以上該当する方は、和泉市の窓口や公式サイトでの確認をおすすめします。
制度は予算枠・先着順である場合も多いため、「補助金を使いたい」と考えている方は、解体前に必ず申請が必要である点にご注意ください。
和泉市の解体費用相場はいくら?
和泉市で空き家の解体を検討する際、まず気になるのが費用の目安です。
解体費用は建物の構造や敷地条件などによって変動しますが、大阪府内の平均相場を基準にすることで、ある程度の費用感をつかむことができます。
建物の構造別にみた費用目安
和泉市の解体費用は、大阪府全体の平均的な価格帯を参考にすると、次のような相場が見込まれます。ここでは、標準的な30坪(約99㎡)の建物を基準に費用を試算しています。
| 建物構造 | 坪単価の目安 | 30坪の解体費用概算 |
|---|---|---|
| 木造 | 約5.7万円/坪 | 約171万円 |
| 鉄骨造(S造) | 約7.2万円/坪 | 約216万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 約7.7万円/坪 | 約231万円 |
木造住宅は比較的解体しやすく費用を抑えやすい一方で、鉄骨造やRC造は構造が強固で工事手間が増すため、費用が高くなる傾向があります。
なお、これらの金額は建物本体の解体費用のみであり、残置物撤去・整地・申請代行費などが別途かかる場合があります。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は建物の構造だけでなく、現地の状況や付帯条件によっても大きく変動します。
以下の表に、費用が高くなる場合と抑えやすい場合の代表的な要因をまとめました。
| 要因カテゴリ | 費用が高くなるケース | 費用が抑えられるケース |
|---|---|---|
| 接道・立地条件 | 前面道路が狭く重機が入らない/住宅密集地 | 大型車が搬入できる広い前面道路がある |
| 建物の状態 | アスベスト使用/老朽化が激しく手作業が必要 | 構造が単純・傷みが少なく機械作業が中心で済む |
| 敷地状況 | 地下室・擁壁・井戸・樹木がある | 平坦で障害物のない更地に近い |
| 残置物の量 | 家具・家電・生活ゴミなど大量に残っている | 事前に片付けが済んでいる |
| その他工事の有無 | 外構・塀・車庫・庭石の撤去など追加作業が多い | 建物のみの解体で済む |
和泉市内は郊外住宅地が多いため、比較的解体しやすい物件もある一方で、昔ながらの住宅や敷地条件に注意が必要なエリアも存在します。
現地調査によって正確な費用を把握することが重要です。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
空き家の解体には数十万円から数百万円の費用がかかることが多く、所有者にとって大きな負担となり得ます。しかし、解体費用は業者の選び方や依頼の仕方によって抑えることが可能です。
ここでは、費用を無理なく削減するためのポイントとして「相見積もりの取得」と「信頼できる業者選び」の2点を詳しく解説します。
相見積もりの重要性
複数の解体業者から見積もりを取る「相見積もり」は、費用を抑えるために最も有効な手段の一つです。
ただし、単に金額を比較するだけでなく、工事内容や対応の質にも注目する必要があります。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 適正価格の把握 | 複数社の金額を比較することで、相場を把握し不当な高額請求を避けられる |
| 工事範囲の確認 | 各社の見積書を比較することで、含まれている作業の違いが分かる |
| 業者の誠実さを見極める | 丁寧な見積書や説明があるかで、対応の信頼性を判断できる |
| 値引き交渉の材料になる | 他社の見積もりを根拠に、価格交渉がしやすくなる |
和泉市内には大小さまざまな業者が存在するため、最低でも2~3社に現地調査を依頼して、正確な見積もりと対応内容を比較することが大切です。
業者選びの注意点
解体工事は費用面だけでなく、近隣への配慮や法令遵守、安全対策なども重要です。信頼できる業者に依頼することで、工事中のトラブルや追加費用の発生を避けることができます。
| チェックポイント | 内容・確認のポイント |
|---|---|
| 許可の有無 | 建設業許可・解体工事業登録・産廃収集運搬業許可を持っているか |
| 見積書の内容 | 明細が具体的で、「一式」表記ではなく内訳が明示されているか |
| 現地調査の対応 | 担当者が現地で丁寧に説明し、質問に的確に答えてくれるか |
| 近隣対応の姿勢 | 工事前の挨拶回りや、騒音・振動対策などの説明があるか |
| 実績と評判 | 地元での施工実績があるか、口コミや紹介があるか |
特に和泉市内では、住宅が密集している地域もあるため、近隣トラブル防止への配慮ができる業者かどうかを確認することが重要です。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
和泉市では、老朽化や相続放棄などを背景に空き家が増加しており、特に放置された空き家は3,000戸以上にのぼります。こうした空き家を放置すれば、景観や安全性、防犯面での課題を引き起こす可能性があります。
市では、老朽危険空家への除却補助や、空家バンク制度などを通じて、所有者の負担を軽減しながら空き家対策を推進しています。制度は予算枠や受付期間が限られているため、対象となる可能性がある場合は早めの情報収集と申請準備が重要です。
また、解体費用を抑えるためには、複数の業者から相見積もりを取り、信頼できる業者を選ぶことがカギとなります。補助金と合わせて上手に活用することで、無理のない費用で空き家問題を解決することができます。
放置せずに早めに動き出すことが、資産価値の維持や地域の安全につながる第一歩です。まずは一歩踏み出して、補助制度の確認と専門業者への相談を検討してみましょう。
解体工事をご検討の方へ
- 解体工事を安く、安心に進めるならクラッソーネがおすすめ
- 複数の見積もりを比較することで適正価格をお届け(平均16.7%の費用削減)
- 紹介する工事会社は厳選な審査を通過した会社のみ(全国1,500社以上)
- 独自の安心保証制度で、万が一のトラブルにも対応