大阪府南部に位置する岸和田市では、空き家の増加が地域課題として顕在化しています。最新のデータによると、岸和田市の空き家率は13.82%、空き家数は約12,550戸にのぼります。
さらに、放置空き家率は6.48%と府内でも比較的高く、適切な管理や活用が求められています。
この記事では、岸和田市の空き家事情や解体費用の目安、補助制度の有無、コストを抑えるポイントなどを詳しく解説します。
空き家を所有し、今後の対応を検討している方に向けて、実用的な情報をお届けします。
岸和田市は今「空き家」が増えている?
岸和田市では、人口減少や高齢化、相続後の管理放棄などにより、空き家の増加が深刻化しています。とくに老朽化した建物の放置が多く、防災や衛生面のリスクが高まっており、対策が急務とされています。
最新の空き家率データ(岸和田市)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 住宅総数 | 90,830戸 |
| 空き家数 | 12,550戸 |
| 空き家率 | 13.82% |
| 放置空き家数 | 5,890戸 |
| 放置空き家率 | 6.48% |
岸和田市の空き家率は大阪府内の平均に近い水準ですが、放置空き家の割合が高く、適切な対応を取らないと、周辺住民にも影響を及ぼすリスクがあります。
なぜ空き家が増えているのか
岸和田市における空き家の増加には、地域特有の背景と全国的な社会構造の変化が複合的に影響しています。以下に主な要因を整理しました。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化の進行 | 高齢者の死亡や施設入居により、住まなくなった家がそのまま空き家に |
| 相続後の管理放棄 | 相続人が遠方に住んでいる・使い道がない・維持費が負担となることで放置されるケースが増加 |
| 修繕・建て替えコストの高さ | 建物が老朽化しても、修繕費・建て替え費用が捻出できず放置される |
| 市街地の制限 | 再建築不可や狭あい道路沿いの物件が多く、有効活用が難しい |
| 空き家対策制度の認知不足 | 補助金や空き家バンク制度の存在が十分に知られていないため、行動につながりにくい |
特に岸和田市は、戦後の住宅密集地域を多く抱えており、建物が古くなっても利活用が進みにくい環境が背景にあります。
岸和田市の解体補助金
岸和田市では、空き家の「倒壊・火災・景観悪化」などのリスクを軽減するため、所有者向けに相談窓口の設置や、解体・除却の補助制度を整備しています。所有者が早めに対応を検討できるよう、制度内容やポイントをわかりやすく整理します。
大阪府 岸和田市 の補助金情報
岸和田市不良空家除却事業補助金
| 事業・条令名 | 岸和田市不良空家除却事業補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 倒壊等により周囲の環境に悪影響を及ぼすおそれのある空家の除却を促進し、市民が安全・安心で、快適に暮らせるまちを確保するため、除却費用の一部を補助する制度です。 |
| 対象申請者 | 次の要件をすべて満たす者が対象となります。 1.個人であること 2.市内に所在する不良空家の所有者であり、除却する者であること 3.本市が賦課する市税を滞納していないこと 4.暴力団員又は暴力団密接関係者でないこと |
| 対象建築物の概要 | 次の要件をすべて満たす空家が対象となります。 1.家屋が傾いていたり、屋根や外壁が崩れているなど、かなり老朽化したもの 市が定める住宅の不良度の判定基準[PDFファイル/105KB]の評点の合計が100点以上となるもの。 2.空家となってから1年以上経つもの 事前調査依頼時において、1年以上居住や使用がなされていないもの。 3.住宅として居住していたもの 一戸建ての住宅、長屋住宅、共同住宅に該当するもの。 ※長屋住宅または共同住宅は、一棟がすべて空室となっているものに限る。 ※住宅以外の用途を兼ねる場合は、当該用途部分の床面積が延べ面積の2分の1未満であるものに限る。 4.木造のもの 5.空家法による命令を受けていないもの 空家法第22条第3項の規定により措置をとることを命じられている特定空家等でないもの。 |
| 補助金額概要 | 補助金の額は次のうち、最も低い額(千円未満切り捨て)となります。 1.次のうち低い方の額に延べ面積を乗じた額の8割 ・除却費用を延べ面積で除した額(1平方メートルあたりの単価) ・標準除却費(33,000円/平方メートル) 2.800,000円(補助限度額) |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | まちづくり推進部住宅政策課住宅政策担当 |
岸和田市木造住宅除却事業補助金
| 事業・条令名 | 岸和田市木造住宅除却事業補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 耐震性が不足している木造住宅の建替えを促進するため、木造住宅の除却工事にかかる費用の一部を補助することにより、地震による市内の人的・経済的な被害の軽減を図ることを目的とした制度です。 |
| 対象申請者 | 次の要件をすべて満たす者が補助の対象となります。 ・木造住宅の所有者であって、除却する者であること ・本市が賦課する市税を滞納していないこと ・暴力団員又は暴力団密接関係者でないこと |
| 対象建築物の概要 | 次の要件をすべて満たす建築物が補助の対象となります。 【木造のもの】 木造、混構造に該当するもの。 ※混構造は木造の建築物のうち、その一部に木造以外の構造を含むものに限る。 【住宅のもの】 一戸建ての住宅、長屋住宅、共同住宅、兼用住宅に該当するもの。 ※兼用住宅は当該住宅が店舗その他これに類する用途用途を兼ねる場合で、当該用途に該当する部分の床面積が延べ床面積の2分の1未満であるものに限る。 【昭和56年5月31日以前に建築されたもの】 次のいずれかにより建築されたもの。 ・昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて建築されたもの ・昭和56年5月31日以前に建築されたもの。 【耐震性が不足しているもの】 次のいずれかにより耐震性が不足していると認められるもの。 ・「木造住宅の耐震診断と補強方法(一般財団法人日本建築防災協会)」による一般診断法または精密診断法 ・「誰でもできるわが家の耐震診断(国土交通省住宅局監修・防災協会編集のリーフレット)」による耐震診断 ※上記リンク先ページを印刷し、診断を行ってください。 ※「誰でもできるわが家の耐震診断」による耐震診断の場合、7点以下と診断されたもの。 ・公共事業による除却、移転、建替え等の補償対象でないもの ・過去に耐震改修工事に係る補助を受けていないもの ・この補助以外に除却工事に係る他の補助金等の交付を受けていないもの又は受ける予定がないもの |
| 補助金額概要 | 補助対象経費の7割(上限40万円) |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | まちづくり推進部住宅政策課住宅政策担当 |
土砂災害特別警戒区域内の住宅の除却・移転に対する補助制度
| 事業・条令名 | 土砂災害特別警戒区域内の住宅の除却・移転に対する補助制度 |
|---|---|
| 制度の概要 | 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(平成12年法律第57号)第9条第1項に規定される土砂災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)内にある住宅を対象に、住宅の除却及び区域外への住宅の移転に対し、その費用の一部を補助する制度を設けています。 補助制度の利用をお考えの場合は、事前に下水道河川整備課へご相談ください。 |
| 対象建築物の概要 | 特別警戒区域が指定される以前から当該区域内に建てられた住宅(企業の社宅等は除き、居住の用に供する部分の床面積が延べ面積の2分の1以上のものに限る) ※申請時点で契約済みなど、既に着手しているものは対象外となります。 ※その他、要件があります。詳しくは、下水道河川整備課(072-423-9649)へお問い合わせてください。 |
| 補助金額概要 | 【住宅の撤去にかかる費用(除却費等)】 ・危険住宅の除却に要する費用:1平方メートル当たりの限度額×延べ床面積 (令和6年度の1平方メートル当たりの限度額) 木造住宅:3万2千円/平方メートル 非木造住宅:4万6千円/平方メートル ※1平方メートル当たりの限度額は、住宅局標準建設費等通知に基づき毎年度変更されます。最新の限度額は大阪府ホームページでご確認ください。 ・その他除却等に要する費用(動産移転費等):1戸あたり97万5千円 ※移転については、移転先が岸和田市内であることが条件です。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 下水道河川部下水道河川整備課 |
岸和田市の解体費用相場はいくら?
空き家を解体したいと考えたとき、多くの方が気になるのが「費用はいくらかかるのか?」という点です。岸和田市単体の費用統計はないものの、大阪府全体の平均相場をもとに概算を把握することができます。
岸和田市の解体費用相場はいくら?
空き家を解体したいと考えたとき、多くの方が気になるのが「費用はいくらかかるのか?」という点です。岸和田市単体の費用統計はないものの、大阪府全体の平均相場をもとに概算を把握することができます。
建物の構造別にみた費用目安(岸和田市)
| 坪数帯 | 坪単価目安 | 概算費用(例) |
|---|---|---|
| 10坪未満 | 約6.1万円/坪 | 約61万円 |
| 10坪台 | 約7.3万円/坪 | 約110万円(15坪) |
| 20坪台 | 約6.2万円/坪 | 約155万円(25坪) |
| 30坪台 | 約5.7万円/坪 | 約171万円(30坪) |
| 40坪台 | 約5.8万円/坪 | 約232万円(40坪) |
| 50坪台 | 約5.5万円/坪 | 約275万円(50坪) |
| 60坪台 | 約5.2万円/坪 | 約312万円(60坪) |
| 70坪以上 | 約4.7万円/坪 | 約329万円(70坪) |
※この費用表は木造住宅の相場です。鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)は、1.5~2倍程度の費用がかかることが一般的です。
※あくまで「大阪府全体の平均相場」に基づいた目安です。岸和田市でも多くのケースで参考にされます。
費用が高くなる・安くなるケース
岸和田市は古い街並みが残る地域もあり、立地や建物の条件によって解体費用に差が出ることがあります。以下に、費用が増減する代表的な要因をまとめました。
| 要因カテゴリ | 費用が高くなるケース | 費用が安くなるケース |
|---|---|---|
| 立地条件 | 道幅が狭く重機が入らない/私道に面している | 幅広い公道に面していて重機搬入が容易 |
| 建物構造 | 鉄骨造・RC造、複雑な構造(地下室など) | 木造・平屋建て |
| 残置物 | 家財道具やゴミの量が多く、撤去作業が必要 | 事前に家財をすべて処分済み |
| 敷地条件 | 地中に基礎・井戸・浄化槽などの障害物あり | 更地に近い状態で障害物なし |
| 近隣環境 | 隣家と近接しており、養生や防音対策が必要 | 周囲に空間があり施工しやすい |
このように、現場の条件によっては30万円以上の差が出るケースもあるため、複数社からの現地調査付き見積もりを取得するのが最善です。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
岸和田市で空き家の解体を検討する際、費用負担がネックになることもあります。しかし、いくつかの工夫を行うことで、無理なく予算内に収めることが可能です。ここでは実践しやすい節約ポイントを紹介します。
相見積もりの重要性
複数の業者から見積もりを取得する「相見積もり」は、解体費用を適正化するための基本です。1社のみの見積もりでは、相場より高い価格が提示されるリスクがあります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 相場が把握できる | 適正価格と高額請求の違いが分かる |
| 提案内容の比較が可能 | 作業内容・対応スピード・安全対策なども見える化 |
| 交渉の材料になる | 他社見積もりを活用して値下げ交渉できる |
| 補助制度対応も確認できる | 行政の手続きサポートの有無もチェックポイント |
費用だけでなく、サービス内容や対応力も含めて比較することが大切です。
業者選びの注意点
解体工事は金額が大きく、かつ周囲への影響も大きいため、「安さ」だけで業者を選ぶのは危険です。
特に岸和田市のような住宅密集地では、丁寧な対応と信頼性の高い業者選びがトラブル防止の鍵となります。
| チェック項目 | 解説 | 注意点 |
|---|---|---|
| 建設業許可の有無 | 解体工事業の登録・許可があるか確認 | 無許可業者は法令違反や不法投棄のリスクがある |
| 見積書の透明性 | 「一式」表記でなく、項目ごとの詳細記載があるか | 曖昧な見積もりは追加請求のリスクあり |
| 現地調査の丁寧さ | 建物の構造・周辺環境・地中の確認が丁寧か | 雑な調査はトラブルや追加費用の原因に |
| 近隣対応 | 工事前の挨拶、騒音・粉じん対策の実施有無 | クレーム対応を業者任せにできるかも重要 |
| 補助制度への理解 | 自治体の補助金申請に精通しているか | 申請サポートの有無で実質負担額が変わることも |
「価格・対応・信頼性」のバランスを見極めて選ぶことが、後悔しない解体につながります。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
岸和田市では、空き家率13.82%、放置空き家率6.48%と、全国平均を上回る水準で空き家問題が進行しています。老朽化した住宅は、防災・防犯・景観の観点からも地域全体に悪影響を与えかねません。
しかし、岸和田市では不良空家除却補助金や木造住宅除却補助制度など、所有者を支援する制度が用意されています。適切なタイミングで申請し、信頼できる業者を選定することで、費用面の不安も大きく軽減できます。
「いつか片付けよう」ではなく、今こそ一歩を踏み出す時です。
適切な行動が、将来的な負担を防ぎ、地域の安全と資産価値を守ることにつながります。
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