枚方市は、空き家問題が徐々に顕在化しています。
人口構成の変化や高齢化、ライフスタイルの変化により、人が住まなくなった家屋が放置されるケースが増えてきました。
所有者の負担・近隣への影響・防災面などを考えると、「このまま放置するか」「解体するか」の判断は重要です。
本記事では、枚方市の空き家の現状、解体費用の目安、補助制度、そして解体時の注意点をわかりやすく解説します。
枚方市は今「空き家」がどうなっている?
枚方市ではかつて空き家率が11.6%台と報告されており、大阪府・全国平均より若干低めの水準でした。
しかし、住まわれていない住宅のうち「賃貸用」「売却用」「その他(転勤・長期不在など)」の割合が高く、特に「管理不全になりやすい空き家が少なくない」との報告があります。
最新の空き家率データ
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、枚方市の空き家率は11.43%、空き家数は22,320戸と報告されています。また、放置空き家率は4.60%、放置空き家数は8,980戸で、住宅総数は195,260戸です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 11.43% |
| 空き家数 | 22,320戸 |
| 放置空き家率 | 4.60% |
| 放置空き家数 | 8,980戸 |
| 住宅総数 | 195,260戸 |
空き家率そのものは大阪府内平均(16.12%)を下回っているものの、絶対数では2万戸を超えており、今後の対策が必要とされています。
なぜ空き家が増えているのか
枚方市の空き家増加の背景には、社会的な要因と地域固有の特性が複合的に影響しています。以下に主な原因を整理しました。
| 主な要因 | 内容 | 枚方市における傾向 |
|---|---|---|
| 高齢化の進行 | 高齢者の転居・死亡後に住宅が空き家に | 市内には昭和〜平成初期に建てられた住宅が多く、単身高齢者の増加が背景に |
| 相続後の放置 | 相続人が管理できず放置 | 市外在住の相続人が多く、維持費や手続きの負担から放置されがち |
| 地域的要因 | 昔ながらの住宅地・団地エリアが多い | 開発時期が集中しており、同時期に老朽化・空き家化しやすい |
| ライフスタイル変化 | 新築志向やマンション需要の高まり | 戸建ての再利用が難しく、売却・賃貸にも時間がかかる |
このような背景から、空き家は単なる「空いている家」ではなく、適切な管理・対応が求められる「地域課題」として顕在化しています。
枚方市の空き家対策・補助制度
枚方市では、空き家問題の適正管理と活用を促進するため、複数の制度・方針が整備されています。
以下のような制度があります。
大阪府 枚方市 の補助金情報
枚方市住宅除却工事補助金
| 事業・条令名 | 枚方市住宅除却工事補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 耐震性の不十分な住宅の除却工事に要する費用の一部を補助する制度です。 補助制度の利用をお考えの方は、必ず除却工事(契約)を行う前に住宅まちづくり課へご相談ください。 |
| 対象建築物の概要 | 以下のうち、すべてに該当するもの ・昭和56年5月31日以前の耐震基準で建てられた個人所有の住宅。 ・所定の方法による耐震診断等の結果、一定基準未満であると判定されたもの。 ※所定の方法による耐震診断等とは、下記の(1)、(2)の方法による耐震診断です。 1.耐震改修の促進に関する法律に基づく一般診断法等の専門家による耐震診断 2.「誰でもできるわが家の耐震診断」を活用して、所有者等が実施する耐震診断(木造住宅のみ) ・原則として住宅の全てを除却(解体)する工事。 ・申込者(建物所有者)の世帯全員の年間所得の合計額が256万8千円以下であること。 ・建設業法の許可又は建設リサイクル法の登録を受けている者による除却工事であること。 ・耐震改修工事の補助金を受けていないこと。 |
| 補助金額概要 | 以下のうち、いずれか小さい額 ・床面積1平方メートルにつき1万円 ・除却工事に要した費用 ・1棟あたりの上限額20万円 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市整備部 住宅まちづくり課 |
枚方市危険ブロック塀等除却補助金
| 事業・条令名 | 枚方市危険ブロック塀等除却補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 道路等に面するブロック塀の倒壊による事故を防止するため、その除却費用の一部を補助します。 補助制度の利用をお考えの方は、必ず除却工事を行う前に住宅まちづくり課へご相談ください。 |
| 対象建築物の概要 | 以下のうち、すべてに該当するもの ・市内にあるもの ・道路、公園等に面しているもの(隣家との境界のものは対象外) ・高さが80cm以上のもの ・これまで同様の目的の補助金を受けていないもの ・下記の点検表にあてはまらない項目が1つ以上あるもの |
| 補助金額概要 | 以下のうち、いずれか小さい額 ・15万円(分譲マンションの場合は、1戸あたり15万円かつ上限150万円) ・除却工事に要した費用 ・補助対象ブロック塀の見付面積(高さ×長さ)(単位:平方メートル)×1万5千円 |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市整備部 住宅まちづくり課 |
枚方市既存民間建築物吹付けアスベスト含有調査補助金
| 事業・条令名 | 枚方市既存民間建築物吹付けアスベスト含有調査補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 市内の民間建築物のアスベスト含有調査に要する費用の一部を補助いたします。 補助金交付制度の利用をお考えの方は、アスベスト含有調査契約前(着手前)に審査指導課へご相談ください。 |
| 対象建築物の概要 | ・枚方市内の民間建築物であること ・吹付けアスベストまたはアスベストを含有する吹付けロックウールが施工されているおそれがある建築物であること ・これまで同様の目的の補助金を受けていないものであること ・原則、木造建築物または一戸建て住宅以外の建築物であること ・申請~交付請求まで募集期間内に完了できるスケジュールであること ※アスベスト含有調査の契約(着手)後の申込みはできません |
| 補助金額概要 | 建築物石綿含有建材調査者が行った吹付けアスベスト等の分析調査に要する費用(上限額25万円) |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市整備部 審査指導課 |
枚方市若者世代空き家活用補助制度(除却関連)
| 事業・条令名 | 枚方市若者世代空き家活用補助制度(除却関連) |
|---|---|
| 制度の概要 | 市内の空き家を活用して、枚方市に定住する若者世帯や子育て世帯を応援する制度です。空き家の除却や住宅の新築・リフォームにかかる工事費用に対して最大100万円補助します。交付には以下の対象要件を満たしている必要があります。下記のリーフレットにて、交付までの流れや必要書類をご確認ください。 空き家の購入や各種契約後の事前協議は受付できませんので、必ず各種契約前に住宅まちづくり課に事前協議書を提出してください。 ※相続により空き家を取得した場合も補助対象になる可能性がありますので、その場合は住宅まちづくり課へお問合せください。 令和5年8月28日に補助要件を一部拡充しました。 |
| 対象事業・工事の概要 | 次のいずれかを満たすこと ・上記の空き家を取得し、当該空き家を除却し、跡地に住宅を新築する行為 ・上記の空き家を取得し、当該空き家を耐震改修およびリフォームをする行為 ※取得した空き家の土地・建物の名義および各請負工事の契約名義は申込者本人のみとしていましたが、令和5年8月の制度改正により、申込者本人と申込者の2親等以内の親族による共同名義でも可能となりました。【R5年8月拡充】 |
| 対象申請者 | 【交付対象者の要件1(次のいずれかを満たすこと)】 ・若者世帯(40歳未満の夫婦等のこと) ※パートナーシップ宣誓があったことの証明を受けた同居している両当事者の方も対象 ・子育て世帯(18歳未満の子がいる世帯のこと) 【交付対象者の要件2(次のいずれかを満たすこと)】 ・市外に1年以上居住している ・市内の賃貸住宅に1年以上居住している ・2親等以内の親族が所有する市内の住宅に1年以上居住している【R5年8月拡充】 |
| 対象建築物の概要 | ・昭和56年5月31日以前に着工された居住されていない一戸建ての住宅または長屋住宅 ・立地適正化計画に定める都市機能誘導区域・居住誘導区域・居住環境保全区域のいずれかに存すること ・事前協議受付日より前に売買契約等されていないこと ※事前協議受付日以前に相続により空き家を取得した場合、補助対象になる可能性がありますので、住宅まちづくり課までお問合せください。 |
| 補助金額概要 | 【新築(建て替え)の場合】 上限100万円(空き家を除却し、新築する工事の合計) |
| 定員 | 有り |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市整備部 住宅まちづくり課 |
解体を検討する人向けチェックリスト
以下の項目に該当する場合は、枚方市の補助制度や活用支援を受けられる可能性があります。該当するかどうか、ひとつずつ確認してみましょう。
| チェック項目 | 該当の有無 |
|---|---|
| 対象の建物は「昭和56年5月31日以前」に建築された住宅である | □ はい / □ いいえ |
| 建物の耐震性に不安がある(倒壊リスクやひび割れが見られるなど) | □ はい / □ いいえ |
| 解体後に土地を売却または新築・活用したいと考えている | □ はい / □ いいえ |
| 空き家をリフォームして再活用したい(賃貸・親族住居など) | □ はい / □ いいえ |
| 所得や世帯構成など、補助条件に合致する可能性がある | □ はい / □ いいえ |
| 工事前に「補助金申請」を行うタイミングが取れる | □ はい / □ いいえ |
3項目以上該当する方は、補助金申請を前提に検討を進めることをおすすめします。
枚方市の各制度は、補助金の「後付け申請」はできないため、必ず工事前に制度を調べ、申請手続きを開始しましょう。
枚方市の解体費用相場はいくら?
空き家を解体する際、多くの人が気になるのが「どれくらい費用がかかるのか」という点です。
枚方市は大阪府内にあるため、府全体の平均的な解体費用を参考にすることで、ある程度の目安が立てられます。建物の構造ごとに相場が異なるため、構造別の解体費用を確認することが重要です。
建物の構造別にみた費用目安
枚方市の解体費用は、大阪府内の平均相場に準じた水準と考えられます。以下は、建物の構造別に見た坪単価と、30坪(約99㎡)の住宅を基準にした概算費用の目安です。
| 建物構造 | 坪単価の目安 | 30坪の解体費用概算 |
|---|---|---|
| 木造 | 約5.7万円/坪 | 約171万円 |
| 鉄骨造(S造) | 約7.2万円/坪 | 約216万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 約7.7万円/坪 | 約231万円 |
木造住宅は構造が比較的簡単なため費用が抑えやすく、一方で鉄骨造やRC造は解体工程や処分費が増す分、割高になります。
また、これらの金額には残置物処分費・整地費・申請代行手数料などは含まれていないため、実際の総額は+10〜30万円前後になるケースもあります。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は単純に建物の構造だけでなく、現地の条件や付帯工事の有無によっても変動します。以下の表に、費用が高くなりやすい/安くなりやすいケースをまとめました。
| 要因カテゴリ | 費用が高くなるケース | 費用が抑えられるケース |
|---|---|---|
| 立地条件 | 道路が狭く重機が入らない/近隣住宅が密集 | 重機が容易に搬入できる広い敷地/更地に近い |
| 建物の状態 | アスベスト含有・老朽化で手壊し作業が必要 | 解体しやすい構造・補修歴あり |
| 敷地状況 | 地下室・擁壁・斜面あり/雑草・樹木繁茂 | 平坦で障害物の少ない土地 |
| 残置物の量 | 家財やゴミが多く撤去が必要 | 事前に片付け済みで不要物が少ない |
| 付帯工事の有無 | 車庫・外構・塀などの撤去を含む | 建物本体のみの解体で済む |
枚方市内は郊外の開発住宅地が多いため、比較的作業しやすい立地もありますが、古い団地エリアや狭小地では注意が必要です。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
解体工事をご検討の方は、早めに見積もりを取ることをおすすめいたします。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体工事には大きな費用がかかるため、少しでもコストを抑える工夫が求められます。
補助金が利用できたとしても、自己負担が発生するのが一般的です。
この章では、費用を抑えるために誰でも実践できる「相見積もりの取得」と「信頼できる業者選び」の2点について解説します。
相見積もりの重要性
解体工事では、複数の業者に見積もりを依頼する「相見積もり」が非常に重要です。適正価格を見極めるだけでなく、工事の質や信頼性を比較するうえでも効果的です。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 適正価格が分かる | 各社の価格帯を比較することで、相場とかけ離れた高額請求を防げる |
| 工事内容を比較できる | 見積書の内訳から、含まれる作業や対応範囲の違いを把握できる |
| 不要な工事を見極められる | 他社にない項目がある場合、その必要性を確認できる |
| 値引き交渉がしやすくなる | 他社の見積もりを提示して価格交渉の材料にできる |
特に枚方市のように補助制度がある自治体では、補助の対象となる工事内容かどうかも比較ポイントとなります。
最低でも3社程度に現地調査込みの正式見積もりを依頼するのが理想です。
業者選びの注意点
解体工事は建物を取り壊すだけでなく、周囲への安全配慮や法令遵守も求められる専門的な作業です。適正な価格と安心できる施工を両立させるために、以下のポイントをチェックしましょう。
| チェックポイント | 内容・確認すべきこと |
|---|---|
| 許可の有無 | 建設業許可、解体工事業登録、産廃収集運搬業許可を保有しているか |
| 見積書の明細 | 工事項目が細かく明記されているか(「一式」表記に注意) |
| 担当者の対応 | 説明が丁寧で、質問に明確に答えてくれるか |
| 近隣への配慮 | 騒音・粉じん対策、事前の挨拶などを行ってくれるか |
| 施工実績 | 地元での実績や口コミ、紹介の有無を確認する |
業者選びは価格だけでなく、「安心して任せられるか」「誠実に対応してくれるか」が重要です。トラブルを避けるためにも、資格・説明力・現地対応の3点は必ず確認しておきましょう。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
枚方市では空き家の数が2万戸を超えており、今後も高齢化や相続放棄などを背景に増加することが予想されます。こうした空き家を放置すれば、老朽化や倒壊リスク、近隣への悪影響などの問題が発生する可能性が高まります。
幸いなことに、枚方市では空き家除却に対する補助制度や、再活用を促す支援制度が整備されています。解体費用の一部が助成されるケースもあるため、まずは「自分の家が補助対象になるか」を確認することが第一歩です。
また、費用を抑えるためには相見積もりや業者選びの工夫が重要です。複数社の見積もりを比較し、信頼できる業者に依頼することで、納得のいく形で空き家問題を解決できるはずです。
早めの対応が、将来のトラブルを防ぎ、土地の有効活用にもつながります。まずは一歩踏み出して、解体の検討と情報収集を始めてみましょう。
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