湘南エリアの暮らしやすさと海に近い自然環境で人気の茅ヶ崎市。
近年では子育て世帯の流入も見られる一方で、人口構成の高齢化や住宅の老朽化、相続をめぐる問題などから「空き家」が増加傾向にあります。
放置された空き家は、防災・防犯・景観面で地域に影響を与えることもあり、適切な管理や解体の必要性が注目されています。
本記事では、茅ヶ崎市で空き家を所有している方向けに、「空き家率の現状」「補助金制度」「解体費用相場」「コスト削減のポイント」など、知っておくべき情報をわかりやすく解説します。
茅ヶ崎市は今「空き家」が増えている?
茅ヶ崎市は湘南エリアの中でも比較的人口が安定しており、子育て世帯にも人気の地域ですが、高齢化や住宅の老朽化などにより、空き家の増加が課題となっています。
特に放置された空き家は、景観や治安の悪化につながるため、市でも「空家等対策計画」を策定して管理や活用の取り組みを進めています。
最新の空き家率データ
総務省の統計(令和5年住宅・土地統計調査)によると、茅ヶ崎市の空き家の状況は以下の通りです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 空き家率 | 9.16% |
| 空き家数 | 約10,680戸 |
| 放置空き家率 | 3.61% |
| 放置空き家数 | 約4,210戸 |
| 住宅総数 | 約116,650戸 |
このように、全住宅の1割近くが空き家という状況であり、さらに4,000戸以上が放置空き家とみられます。
今後、所有者不明や相続放棄などの問題が複雑化すれば、さらなる増加が懸念されます。
茅ヶ崎市で空き家が増えている背景には、さまざまな社会的・地域的要因があります。
特に以下のような理由が複合的に影響し、空き家の増加を招いています。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化の進行 | 高齢者が施設へ入居したり、死亡後に家が空き家化するケースが増加。 |
| 相続放棄・相続トラブル | 不動産の共有や相続手続きの煩雑さから、管理されないまま放置される。 |
| 修繕・解体費用の負担 | 老朽化した住宅の修繕や解体にかかる費用が高額で、手を付けられない。 |
| 地域の二極化 | 駅近の再開発エリアは人気がある一方で、郊外や古い住宅地では空き家が増加。 |
| ライフスタイルの変化 | テレワークや都市部への移動で、実家などが空き家になりやすい傾向。 |
茅ヶ崎市では特に「相続放棄による空き家の管理不在」が問題視されており、市の空き家対策計画でも法的措置や所有者への指導などが進められています。
茅ヶ崎市の補助金制度・空き家対策制度
茅ヶ崎市では、空き家の取り扱いや老朽住宅の除却・改修などに対して、いくつかの補助制度および対策枠が設けられています。
神奈川県 茅ヶ崎市 の補助金情報
木造住宅除却事業補助金
| 事業・条令名 | 木造住宅除却事業補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 市では、住宅の耐震化を進める新たな取り組みとして、令和5年度より、市から補助金の交付を受けて実施した耐震診断による上部構造評点が1.0未満である木造住宅の除却工事を行う場合に工事費の一部を補助します。 |
| 対象建築物の概要 | 以下の全てに該当するものに限ります。 ・市内に存するもの ・自己の所有するもの ・建築物(これに附属する門及び塀を除く)であるもの ・一戸建て住宅又は兼用住宅(延べ面積の2分の1以上を住宅の用に供するものに限る)であるもの ・昭和56年5月31日以前に建築され、又は建築の工事に着手されたもの ・在来軸組構法又は枠組壁構法で建築されたものであること ・地階を除く階数が2以下であるもの ・市から補助金の交付を受けて実施した耐震診断による上部構造評点が1.0未満であるもの ・市から補助金の交付を受けて耐震補強をし、又は耐震シェルター等の設置をしていないもの |
| 補助金額概要 | 【1】~【3】のうち最も低い額 1.木造住宅の延べ面積(平方メートル)×20,000円の2分の1 2.木造住宅の全ての除却工事見積額の2分の1 3.上限36万円 (茅ヶ崎市耐震改修促進計画に記載された耐震診断義務及び努力路線に接する場合は、上限45万円。) |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市部 建築指導課 建築安全担当 |
危険ブロック塀等の撤去費補助金
| 事業・条令名 | 危険ブロック塀等の撤去費補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 避難や緊急車両通行のために、道路の更なる安全性向上と危険なブロック塀の撤去を促進するため、耐震改修促進計画に基づく施策の一環としての、危険ブロック塀等の解消に向けた補助制度です。 |
| 対象申請者 | ブロック塀等を所有し、市税を滞納していない方 |
| 対象建築物の概要 | ・建築基準法第42条に定義された道路に接するブロック塀等 ・道路等からその上端までの高さが0.8mを超えるものを、0.8m以下まで撤去するもの ・建築基準法第43条の許可・認定を受けた道路に接するブロック塀等 (注)その他、詳細の条件あり |
| 補助金額概要 | 【1】~【3】のうち最も低い額 1.撤去工事の見積額 2.撤去する塀等の部分の見付面積×6,000円/平方メートル 3.上限20万円 (世帯全ての者が65歳以上であり、当該全ての者が市民税を課税されていないときは上限30万円) (注)ブロック塀等の面している道路の種類によって、補助金の申請課が異なります。まず、建築指導課にご相談ください。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | 都市部 建築指導課 建築安全担当 |
民間建築物アスベスト含有調査事業補助金
| 事業・条令名 | 民間建築物アスベスト含有調査事業補助金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 市内におけるアスベスト等の飛散防止ために必要な対応を推進するため、民間建築物の所有者の方などに対して、アスベスト含有調査に要する費用の補助を行います。 |
| 対象申請者 | 建築物の所有者(区分所有者が複数いる場合は、その管理組合) ・建物所有者が複数いる場合は、全員の同意が必要です。 ・市税の滞納がない方に限ります。 |
| 対象建築物の概要 | 吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある民間建築物で、次に掲げる1及び2の要件に該当するもの。 1.市内に存するもの 2.昭和31年1月1日から平成18年8月31日までの間に建築基準法の規定による確認済証の交付を受けて着工された民間建築物であって次の【1】又は【2】に該当するもの 【1】延べ面積が1,000平方メートル以上のもの 【2】延べ面積が300平方メートル以上1,000平方メートル未満のもののうち、次アからウに掲げる用途に供する部分の床面積の合計が300平方メートル以上のもの ア.建築基準法別表第1(一)の項に掲げる用途(例集会場等) イ.ホテル又は旅館 ウ.建築基準法別表1(四)の項に掲げる用途(例飲食店、物品販売店等) 【対象とならない建築物】 ・1,000平方メートル未満の一般住宅 ・これまでにこの補助金又は神奈川県が実施する建築物石綿含有建材調査者の派遣事業を受けた民間建築物 |
| 補助金額概要 | 1棟当たり25万円まで 1カ所当たり15万円まで |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 建築物石綿含有建材調査者が調査を行う必要があります。 建築物石綿含有建材調査者とは… 建築物における石綿含有建材の実態把握を推進するため、厚生労働省、国土交通省および環境省が連携して実施している、石綿含有建材の調査に関する専門家を育成するための講習を修了した方(建築物石綿含有調査者講習登録規定2条第2項又は第3項に規定する方)です。 |
| 問い合わせ先 | 都市部 建築指導課 建築安全担当 |
茅ヶ崎市の解体費用相場はいくら?
空き家をそのまま放置するのではなく、解体して更地にする選択を取る方も少なくありません。しかし、実際の解体費用は「建物の構造」「敷地の条件」「残置物の有無」などによって大きく変動します。
ここでは、神奈川県全体の相場を基に、茅ヶ崎市での解体費用の目安を見ていきましょう。
建物の構造別にみた費用目安
以下は、建物の構造と坪数ごとの費用相場の一覧です。
茅ヶ崎市でもこの価格帯が一つの基準となります。
| 坪数帯 | 坪単価の目安 | 解体費用目安 |
|---|---|---|
| 10坪未満 | 約6.8万円/坪 | ~約68万円 |
| 10坪台 | 約7.1万円/坪 | 約71万~約127万円 |
| 20坪台 | 約6.5万円/坪 | 約130万~約175万円 |
| 30坪台 | 約6.1万円/坪 | 約183万円 |
| 40坪台 | 約5.7万円/坪 | 約228万~約256万円 |
| 50坪台 | 約5.6万円/坪 | 約280万~約308万円 |
| 60坪台 | 約5.0万円/坪 | 約300万~約330万円 |
| 70坪以上 | 約5.3万円/坪 | 約371万円~ |
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は「建物の広さ」や「構造」だけでなく、立地条件や周辺環境によって大きく増減します。特に茅ヶ崎市のような住宅密集地や郊外が混在する地域では、以下のようなケースによって費用が変わることがあります。
| ケース | 内容 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| 前面道路が狭い | 重機が入れず、手作業が増える | 増加 |
| 隣家との距離が近い | 養生シートの設置、慎重な作業が必要 | 増加 |
| 残置物が多い | 家財やゴミの処分が必要 | 増加 |
| 地中埋設物がある | 浄化槽・井戸・古基礎などの撤去が発生 | 増加 |
| 更地化の希望あり | 整地作業の追加費用が発生する | 増加 |
| 重機搬入が容易 | 作業効率が良くなる | 減少 |
| 不用品を事前に処分 | 処分費が不要になる | 減少 |
| 平屋や簡易構造 | 作業が単純で短期間で終了 | 減少 |
同じ30坪の木造住宅でも、条件次第で「20万円以上」差がつくこともあります。
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
また、自治体の補助金を活用することで、実際の自己負担額が軽減できるケースもあります。
正確な費用を知りたい場合は、早めの見積り依頼を行うのがおすすめです。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
解体費用を抑えるポイント
解体費用は決して安いものではありませんが、ちょっとした工夫や準備でコストを大幅に抑えることも可能です。
ここでは、茅ヶ崎市で解体を検討している方に向けて、費用削減につながる2つの重要なポイントを紹介します。
相見積もりの重要性
複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は、解体費用を適正に抑えるための基本です。
1社だけに依頼した場合、不当に高い費用を請求される可能性があります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 適正価格の把握 | 相場より高い見積もりを避けられる |
| 作業内容の比較 | 残置物処分・養生・整地など細かい差を確認できる |
| 価格交渉が可能 | 他社の金額を元に交渉しやすくなる |
最低でも「3社以上」から見積もりを取り、内容を比較するのが理想です。
業者選びの注意点
費用だけを基準に業者を選ぶと、後々トラブルになる可能性があります。
信頼できる業者を見極めるために、以下の点をチェックしましょう。
| チェック項目 | 解説 |
|---|---|
| 建設業許可・解体工事業登録の有無 | 無許可の業者はトラブルの原因に |
| 見積書の明細性 | 項目が細かく分かれているかを確認 |
| アスベスト調査の実施可否 | 法令で義務化。対応できるかは重要 |
| 近隣対応の丁寧さ | 挨拶や騒音対策がしっかりしているか |
安さだけで選ぶと、不法投棄・近隣トラブル・追加請求などのリスクがあります。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
茅ヶ崎市では、空き家率が9%を超え、1万戸以上の住宅が使用されずに残されています。
放置された空き家は、景観や安全性の問題を引き起こすだけでなく、固定資産税の負担増や売却の難しさといったデメリットもあります。
茅ヶ崎市には、老朽木造住宅の除却に対して最大36万円の補助制度がありますが、条件が限られるため、活用には事前確認が不可欠です。
とはいえ、相見積もりや信頼できる業者選びを通じて、自己負担でもコストを抑えた解体は十分可能です。
解体工事をご検討の方へ
- 解体工事を安く、安心に進めるならクラッソーネがおすすめ
- 複数の見積もりを比較することで適正価格をお届け(平均16.7%の費用削減)
- 紹介する工事会社は厳選な審査を通過した会社のみ(全国1,500社以上)
- 独自の安心保証制度で、万が一のトラブルにも対応