近年、全国的に問題視されている「空き家」の増加。
東京に隣接する大都市・川崎市も例外ではありません。
都市部でありながらも高齢化や相続放棄といった問題が絡み、今後さらなる増加が懸念されています。
本記事では、川崎市の空き家の実態や、解体費用の目安、そして補助金制度まで、空き家を所有する方が知っておきたい情報をわかりやすく解説します。
川崎市は今「空き家」が増えている?
都市開発が進む川崎市でも、空き家の存在が深刻な問題となっています。
一見すると人口も増加傾向にある地域ですが、高度成長期に建てられた住宅が老朽化し、高齢化や相続放棄によって放置されるケースが増えています。
ここでは、最新のデータをもとに川崎市の空き家事情を紐解いていきます。
最新の空き家率データ
以下の表は、川崎市の空き家に関する最新の統計です。
| 指標 | 数値(2023年時点) |
|---|---|
| 空き家率 | 8.97% |
| 空き家数 | 約75,100戸 |
| 放置空き家率 | 2.40% |
| 放置空き家数 | 約20,100戸 |
| 住宅総数 | 約836,900戸 |
神奈川県内の他市区と比べても、空き家率は中位ですが、絶対数では県内最多レベルです。
これは、人口が多く住宅数が多いためで、川崎市内全域に空き家が点在している現状がうかがえます 。
なぜ空き家が増えているのか
川崎市における空き家増加の背景には、全国共通の社会問題と、地域特有の事情が複雑に絡んでいます。
以下の表に主な原因をまとめました。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化と単身世帯の増加 | 高齢者が一人暮らしをしている住宅が、死亡や施設入居により空き家化するケースが多い |
| 相続問題・放棄 | 相続登記がなされず所有者が不明になったり、相続を放棄して誰も管理しない状態が放置される |
| 住宅の老朽化 | 1960〜70年代の郊外団地などが老朽化し、修繕費用の負担が理由で放置されやすい |
| 立地の不便さ | 川崎市の一部地域では公共交通の利便性が低く、若年層の居住ニーズに合わず空き家が増加 |
| 利用されない投資用物件 | 転勤や投資目的で購入されたが使われない住宅が空き家化している |
このような複合的な理由により、都市部である川崎市でも空き家が増加傾向にあります。
特に相続放棄や名義不明の物件は、自治体でも対処が難しく、長期放置に繋がるケースが少なくありません。
川崎市の補助金制度
川崎市では、空き家の解体や老朽建築物の除却を促進するため、いくつかの補助金・助成制度を設けています。
神奈川県 川崎市 の補助金情報
住宅等不燃化推進事業(老朽建築物除却工事)
| 事業・条令名 | 住宅等不燃化推進事業(老朽建築物除却工事) |
|---|---|
| 制度の概要 | 不燃化重点対策地区において、老朽建築物の解体工事、建築物の耐火性能強化工事に対する費用の一部を補助することで、密集市街地の改善を目指します。 |
| 対象申請者 | 建物を所有する個人・法人 又は所有者から承諾を得て除却を行う者 (ただし、公的機関は除く) |
| 対象建築物の概要 | 下記のいずれかの要件を満たす建築物 (ただし、延べ面積10㎡以下の小規模なものは除く) 1.旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に工事着工されたもの) 2.耐用年数(木造22年、鉄骨造34年、鉄筋コンクリート造47年)を経過 |
| 補助金額概要 | 下記の算定方法のうち、最も低い金額 1.実費(工事請負契約額)×補助率2/3 2.延べ面積(㎡)×2万円/㎡×補助率2/3 3.100万円(上限額) ※税抜きの金額です |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | まちづくり局市街地整備部防災まちづくり推進課 |
川崎市ブロック塀等撤去促進助成金
| 事業・条令名 | 川崎市ブロック塀等撤去促進助成金 |
|---|---|
| 制度の概要 | 自宅等の塀を撤去する場合、費用の一部を川崎市が負担します。 |
| 対象事業・工事の概要 | ブロック塀等の高さが1.2m以下となるように撤去する工事。 上部のみを撤去する工事、全てを撤去する工事とも対象となります。 ブロック塀等の基礎の撤去費は助成金の対象になります。ただし、ブロック塀等の下にある擁壁の撤去費や、塀に設置されているフェンスや門扉(もんぴ)の撤去費は助成金の対象外になりますので、ご注意ください。 ※施工業者との契約前に申請いただく必要がありますので、ご注意ください。 |
| 対象申請者 | ブロック塀等の所有者及び管理者(個人・法人の別は問いません)。 |
| 対象建築物の概要 | 次の全てに当てはまるブロック塀・石積塀・レンガ積塀・万年塀等 1.川崎市内にあるもの 2.道路または公園に面するもの(隣地に面する塀は対象外ですので、ご注意ください。) 3.安全性の確認ができない高さ1.2m超えるもの(簡単なチェックシートを上記パンフレット「ブロック塀等撤去促進助成金」に記載してありますので、ご自身で確認してください。) |
| 補助金額概要 | 施工業者に支払った金額のうち、ブロック塀等の撤去に要する費用の1/2。 ただし上限額があります(見付面積×6,250円/平方メートル又は300,000円)。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | まちづくり局 指導部 建築指導課 建築安全担当 |
吹付けアスベスト補助金制度
| 事業・条令名 | 吹付けアスベスト補助金制度 |
|---|---|
| 制度の概要 | 民間建築物の壁、柱、天井等に吹付けられたアスベストの飛散による市民の健康障害を予防し、その生命及び身体の保護を図るため、建築物の所有者等が行う吹付けアスベスト含有調査及びアスベスト除去等(除去、封じ込め又は囲い込みの工事)の事業に要する費用の一部を補助します。※解体予定の建築物は対象となりません。 |
| 対象事業・工事の概要 | 【アスベスト含有調査】 1.調査者 特定建築物石綿含有建材調査者又は建築物石綿含有建材調査者であること。(資格者が下請け業者に所属している場合も対象となります。) 建築物石綿含有建材調査者講習(一般財団法人日本環境衛生センターホームページ)外部リンク 講習修了者の情報が記載されています。 2.調査方法 JISに規定された分析法による分析であること。(JISA1481-1又は1481-2でアスベスト含有を判断し、必要に応じてJISA1481-3で含有量を分析してください。) 3.分析機関 作業環境測定法に基づく作業環境測定機関であること。 4.分析実施者 作業環境測定法に基づく作業環境測定士であること。 【アスベスト除去等】 1.計画の策定等を建築物石綿含有建材調査者が行うとともに、当該計画に基づく現場体制に基づき実施するもの。(資格者が下請け業者に所属している場合も対象となります。) 2.関係法令等(「3.除去等の際に必要な手続き」を参照ください。)に従い、適切に施工されるもの。※着手事前届・完了実績報告書にて、関係法令等の届出書等の写しを提出いただきます。 |
| 対象建築物の概要 | 【アスベスト含有調査】 アスベスト含有吹付け材が施工されているおそれのある民間建築物で、以下の要件を満たすものが対象となります。 1.平成18年9月30日以前に建築確認を得て着工されたもの。 2.吹付けアスベスト等が露出して施工されているもの。(ただし、天井内等であっても、点検口や通気口があり、空気の出入りがある場合は対象となります。) 3.引き続き利用されるもの。※解体予定の建築物は対象となりません。 4.大規模な事業者が所有権等の権利を有しないもの。(資本金の額又は出資の総額が3億円以下、又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人が所有する建築物が対象となります。) 5.アスベスト含有調査・除去等に関し、この要綱以外の補助金を受けていないこと。 6.敷地内において、この要綱に基づく補助金を受けていないこと。 【アスベスト除去等】 露出して吹付けられたアスベスト含有建材の除去等で、上記1~6に加え、以下の要件を満たすものが対象となります。 7.多数の者が利用する建築物(共同で利用する部分に限る。ただし、附属する電気室、機械室等は含まれます。)※戸建て住宅、マンションの住戸専有部分は対象となりません。 8.建築基準法等に明らかに違反していないこと。 |
| 補助金額概要 | 【アスベスト含有調査】 アスベスト含有調査に要する費用(消費税を除く)の10/10を補助します。ただし、調査箇所が1か所調査の場合は15万円、複数か所の場合(増築等で建築年が異なる場合のみ対象となります。)は25万円が上限額となります。 【アスベスト除去等】 アスベスト除去等に要する費用(消費税を除く)の2/3を補助します。ただし、300万円が上限額となります。 |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 【アスベスト含有調査】 分析機関:作業環境測定法に基づく作業環境測定機関であること。 分析実施者:作業環境測定法に基づく作業環境測定士であること。 【アスベスト除去等】 計画の策定等を建築物石綿含有建材調査者が行うとともに、当該計画に基づく現場体制に基づき実施するもの。(資格者が下請け業者に所属している場合も対象となります。) |
| 問い合わせ先 | まちづくり局指導部建築指導課建築安全担当 |
狭あい道路拡幅整備事業
| 事業・条令名 | 狭あい道路拡幅整備事業 |
|---|---|
| 制度の概要 | 幅が4m未満の狭あい道路(建築基準法第42条第2項に該当する道路など)では、災害時の避難・緊急車両の通行・清掃車のごみ収集・福祉サービス活動・日常の交通安全・建物の通風・採光などに課題があります。 建築基準法において、狭あい道路沿いで建物を新築する場合などには、その道路の中心から2m後退することが規定されています。川崎市では、『川崎市狭あい道路拡幅整備要綱』を定め、建築確認申請の前に、道路の中心位置や後退位置について協議を行うとともに、一定の要件を満たす場合、市による後退部分の無料舗装、寄附の受納、支障物撤去の助成などの拡幅整備事業を実施しています。 |
| 補助金額概要 | 助成金の額は本市が算出した工事費の2分の1かつ30万円を上限としています |
| 定員 | 無し |
| 業者指定 | 無し |
| 問い合わせ先 | まちづくり局指導部建築審査課 |
補助制度を利用する際の注意点と手続きの流れ
川崎市の補助金制度を利用するには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
以下の通り、事前準備と書類提出が必須です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象条件の確認 | 建物の場所(不燃化重点対策地区等)、築年数、構造などが条件に合っているかを確認 |
| 解体工事前の申請 | 補助金は「工事着手前に申請・承認」が原則。工事後の申請は対象外 |
| 現地調査 | 川崎市の担当者が現地調査を行い、要件適合を確認 |
| 見積書の提出 | 複数社からの見積書を添付することが求められる場合あり |
| 申請〜交付決定まで | 書類提出から交付決定までは数週間〜1か月程度。余裕を持って申請すること |
| 事後報告・完了検査 | 工事完了後、完了報告書と領収書等を提出し、必要に応じて市の検査を受ける |
川崎市の解体費用相場はいくら?
解体を検討する際、最も気になるのが費用です。
川崎市のような都市部では、建物の構造や立地条件によって解体費用が大きく変動します。
ここでは、建物の構造別の坪単価と、30坪の例を用いた概算費用を紹介します。
建物の構造別にみた費用目安
以下の表は、神奈川県全体の解体費用相場(坪単価)をもとに、川崎市で一般的な30坪の住宅を解体する場合の費用目安です。
| 建物構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合の概算費用 |
|---|---|---|
| 木造 | 約6.1万円/坪 | 約183万円 |
| 鉄骨造 | 約7.5万円/坪 | 約225万円 |
| RC造 | 約8.5万円/坪 | 約255万円 |
※上記はあくまで目安であり、実際の費用は建物の状態や立地によって増減します。
費用が高くなる・安くなるケース
解体費用は、建物の構造や面積だけでなく、さまざまな要因で増減します。以下の表に、費用に影響を与える主な要素をまとめました。
| 費用が高くなるケース | 費用が安くなるケース |
|---|---|
| 敷地が狭く重機が入りづらい | 前面道路が広く重機の搬入が容易 |
| 残置物(家具・家電など)が多い | 事前に不要物を自分で撤去している |
| 地中埋設物(基礎・浄化槽など)がある | 地中障害物が少なく撤去作業が容易 |
| アスベスト含有建材がある | アスベストを含まない安全な建材 |
| 隣家と密接していて養生費が高い | 隣地との距離が十分あり作業しやすい |
解体工事価格は上昇傾向
木造住宅の解体費用は、ここ数年で全国的に上昇しています。
下記グラフでは、各年度の平均的な傾向をもとに算出した概算値を示しており、実際の費用は、建物の構造・立地・工事条件などによって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
また、自治体の補助金を活用することで、実際の自己負担額が軽減できるケースもあります。
正確な費用を知りたい場合は、早めの見積り依頼を行うのがおすすめです。
概算シミュレーター
該当市区町村を選択すると、補助金を含めたおおよその解体工事費用が分かります。
このシミュレーターは、あくまで目安を知るためのツールです。
実際の費用は建物の構造や立地条件などによって変わるため、正確な金額を知りたい方は見積もりを依頼するのがおすすめです。
相見積もりの重要性
複数の解体業者から見積もりを取り比較する「相見積もり」は、費用を抑えるための最も基本的かつ効果的な方法です。
| メリット | 説明 |
|---|---|
| 適正価格がわかる | 業者によって数十万円の差が出ることも |
| 不要な作業の有無が見える | 見積もり内容を比較してムダを削減 |
| 業者の対応力をチェックできる | 対応が丁寧かどうかも判断材料に |
川崎市内の解体業者は数多く存在するため、最低でも3社以上から見積もりを取るのがおすすめです。
業者選びの注意点
安さだけで業者を選ぶと、後々トラブルにつながるリスクもあります。
以下のようなポイントを確認しましょう。
| チェック項目 | 解説 |
|---|---|
| 建設業・解体業の許可があるか | 無許可業者は違法行為や不法投棄の恐れも |
| 見積書が明確か | 項目が曖昧な場合は後から追加費用が発生しがち |
| 近隣対応の説明があるか | 解体前後のあいさつや騒音・粉じん対策が丁寧な業者を選ぶ |
| アスベスト調査の有無 | 古い家屋では石綿の事前調査が必須です |
安すぎる見積もりには必ず理由があるため、内容を確認した上で信頼できる業者を選びましょう。
まとめ:空き家対策と補助金で解体を前向きに
川崎市では空き家の数が約75,000戸を超え、地域によっては放置が問題化しています。空き家の放置は景観や治安、防災上のリスクにもつながるため、「使わないなら早めの対応」が重要です。
また、川崎市では補助金制度も充実しており、条件が合えば最大100万円以上の支援が受けられる可能性もあります。補助金を活用すれば、経済的負担を軽減しながら、安全・安心な解体を実現できます。
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