ビル解体費用はどのくらい？費用相場と安くするポイントを解説

老朽化や建て替えなど、さまざまなビル解体理由があるものです。

どの理由にしても気になるのは解体費用ですね。

ビルの解体となるとどれくらいの費用が掛かるのかも想像がつかないという方も多いでしょう。

この記事では、ビルの解体を検討している方のためにビルの解体費用の相場を分かりやすく解説します。

併せて、費用を安く抑えるポイントも紹介するので参考にしてください。

ビルの解体費用相場

ビルの解体費用は、ビルの構造や階数・立地などによっても大きく異なります。

一般的には、1,000万円を超えるケースが多いでしょう。

構造ごとにおおよその相場がある

ビルには大きく分けて次の3つの構造があります。

それぞれの構造により、解体のしやすさも異なるため解体費用に差が出てくるのです。

構造ごとの費用目安は次のようになります。

鉄骨造の場合、他の構造に比べ解体も容易でコンクリートなどの廃材もあまり出ないものです。

その分解体の手間もかからず工期も短くなる傾向があるので、他の構造よりも解体費用が安くなります。

ただし、解体費用は構造だけでなく立地やエリアによっても異なるので、事前に見積もりを取ったうえで検討することが大切です。

ビル解体費用シミュレーション

ここでは、具体的なビル解体費用をシミュレーションしていきましょう。

実際の見積もり書を元に、解体費用を作成しているので参考の一つとしてください。

解体工事の内容や付帯工事などによっても大きく異なるので、あくまで検討材料の一つとして考えるようにしましょう。

ビル本体の解体以外にかかる費用

ビルの解体では、ビル本体を解体する以外にも別に費用が発生する場合があります。

次のような場合は、別に費用が発生するので注意しましょう。

付帯工事費

付帯工事費とは、ビル本体の解体工事以外の費用のことを言います。

一般的には次のような工事があるので、それぞれの費用目安をまとめると以下のようになります。

アスベスト除去費用

建物の建材にアスベストが含有されている場合、アスベスト除去費用が発生します。

アスベストは、解体の際粉塵として舞ってしまうと作業員や近隣住民への健康被害の恐れがあります。

そのため、解体前にはアスベストを除去する作業が必要になるのです。

アスベストは、1975年以降段階的に使用が禁止され2006年に全面禁止となりました。

とくに1975年以前の建築物の場合は、含有されている可能性が高くなるので注意が必要です。

アスベスト除去に掛かる費用の目安は以下の通りです。

ただし、アスベストは含有量や含有されている建材によっても、作業の内容が異なります。

含有量が多ければそれだけ作業を慎重にしなければならないため、費用も高額になるのです。

アスベストについては解体前に事前調査で含有の有無を調査します。

調査結果によって、追加で費用が発生する可能性があるので注意しましょう。

廃棄物処理費用

解体に伴い排出されるコンクリートや鉄筋などの廃棄物は、それぞれの種類に応じて処理費用が発生します。

廃棄物処理費用の目安は次のとおりです。

一般的には、解体工事費用の中に廃棄物処理費用も含まれています。

しかし、オフィス用ビルなどの解体の場合には、別途処理費用が発生する可能性が高くなるので注意しましょう。

また、廃棄物処理費用では、トラックでの運搬・収集代が加算される場合もあるので、詳細は見積もり時に確認することが大切です。

諸経費

ビルの解体の場合、解体費用以外に次のような経費が発生します。

経費は、ビルの立地や解体状況によっても金額が異なります。

上記のような費用が発生する可能性があることを意識し、見積もりを依頼することが大切です。

ビル解体費用が高くなりやすい要因

ビル解体費用は、それぞれのビルによって異なるため明確な金額を事前に把握するのは難しいものです。

しかし、ビル解体費用に影響する要因を把握しておくことで、どれくらいの費用になるのかのかの見当は付きやすくなるでしょう。

ビル解体費用が高くなりやすい要因として、次のようなことがあります。

それぞれ見ていきましょう。

堅牢な構造ほど高くなりやすい

先述したように、ビルの構造は解体費用を大きく左右します。

堅牢な構造であれば、それだけ解体が難しくなり費用も高額になるのです。

一般的には、S造（鉄骨造）＜RC造（鉄筋コンクリート造）＜SRC造（鉄骨鉄筋コンクリート造）の順で、解体の難易度が上がり費用も高くなります。

ビル構造が分からない場合は、建築確認申請書や登記簿謄本などで確認できるでしょう。

また、ビルを購入した不動産会社や建築したハウスメーカーに問い合わせて確認もできます。

築年数が古くなるほど高くなりやすい

築年数の古いビルの場合、アスベストが使用されている可能性があり含有している場合は除去費用が掛かります。

とくに1975年以前の建築物の場合は、使用されている可能性が高くなるでしょう。

築年数は登記簿謄本などで確認できるので、事前に把握しておくことが必要です。

先述したように、アスベストは解体で飛散してしまうと危険性があるため、一気に解体できずに慎重に作業する必要があります。

除去作業に時間と手間がかかるだけでなく、アスベストを含んだ建材は特殊な処理も必要になるため、処理費用も掛かってきます。

また、アスベストを含むビルの解体の場合は、事前の届出など書類上の手続きも煩雑になるなど、さまざまな手間が発生するのです。

基本的には事前調査でアスベスト含有をチェックしますが、作業途中で判明するケースもあります。

作業途中で判明した場合、作業が中断するだけでなく見積もりをし直しての除去作業となるので、当初の見込みよりも費用が高額になるので注意が必要です。

ただし、事前調査で判明するのか途中で判明するのかに関わらず、アスベストが含有している場合は、除去のための費用は必ず必要になるものです。

築年数が古いビルでは、アスベスト含有の可能性が高いので、ある程度高額になることは覚悟しておくとよいでしょう。

延床面積が大きいほど高くなりやすい

解体費用は1坪当たりで算出されるのが基本的です。

そのため、延べ床面積が大きければそれだけ解体費用も高額になるでしょう。

ただし、解体面積が大きければそれだけ解体作業を効率的に進められるため、坪単価でみた場合は、面積が小さい場合よりも割安になります。

目安の金額を把握するためにも、ビルの大きさを正確に理解しておくことが大切です。

売買契約書や登記簿謄本に正確な大きさが記載されているので、事前に確認しましょう。

周囲の道幅や隣地との距離が狭いと高くなりやすい

解体費用が高くなる立地の条件としては、次のようなことがあります。

解体工事では、重機や大型車両の搬入・足場の設置などが必要になります。

そのため、前面道路の幅や敷地内での作業スペースが確保できるのかが大きく価格に関わってくるのです。

道路の幅が狭く、敷地内に作業スペースが確保できない場合、重機や廃棄物を排出するトラックを搬入できない場合があります。

重機が入れないとその分手作業での解体となるため、手間がかかり工期も伸びるため費用が高額になる可能性が高くなるのです。

また、廃棄物搬出や職人の移動のための車両が通れない道路の場合、別の場所に駐車場を借りる必要があります。

その場合も、廃棄物を別の場所に運ぶ手間がかかるため費用が追加される場合や、駐車場代が請求される可能性があるのです。

また、通常の足場を組めない場合も、狭い場所でも設置できる特殊な足場の設置が必要になるなどで費用が高額になります。

ただし、隣地の土地を借りて対応することができる場合などもあるため、事前に現地を確認してもらうことが大切です。

ビルの解体費用を安くするポイント

高額になるビル解体費用は少しでも安く抑えたいものですね。

ここでは、ビル解体費用を安く抑えるポイントとして、次の5つを紹介します。

それぞれ見ていきましょう。

閑散期を狙う

解体工事にも繁忙期と閑散期があり、繁忙期は費用が高額になる可能性が高くなります。

また、繁忙期は依頼が立て込むことで解体工事自体を請け負ってもらえない場合もあるのです。

一般的には、年末から年度末にかけてが解体工事の繁忙期にあたります。

そのため、どうしても年度末で解体しないといけないという場合以外なら、その時期を外して依頼することをおすすめします。

清掃やゴミ出しは済ませておく

ビル内のごみの撤去を解体業者に依頼することも可能です。

しかし、費用を安く抑えるという点では、自分でゴミ出しまで済ませておくことをおすすめします。

解体工事に伴うゴミは、一般のごみであっても産業廃棄物扱いとなるため処理費用も高額になります。

自分で処理した場合は、粗大込みやリサイクルできる家電以外では処理費用はほぼ掛からないでしょう。

しかし、ビル内の清掃や不要物の処理となると量も多く手間や時間もかなり掛かります。

忙しい場合などでは、業者に依頼したほうが労力を掛けずに済むので、費用とのバランスを考慮して検討しましょう。

図面を用意する

見積もり時に用意しておきたいのが図面です。

図面をもとに詳細なビルの情報を提供することで、業者の手間が減り費用を安く抑えられる可能性があります。

とくにビルの場合は、見ただけでは構造や鉄筋の本数なども分かりにくいため、高めに見積もりが出される可能性があるのです。

図面があることで、見積もりの精度を上げることができるでしょう。

さらに、きちんと事前の現地調査をしてもらうことも重要です。

契約時に行き違いをなくすためにも、事前調査には立ち合い解体対象などをすり合わせていくようにしましょう。

補助金を活用する

自治体によっては解体に伴う費用の補助金を交付している場合があります。

ビル解体の場合は、アスベストが含有されている場合に補助金を活用できる可能性があるでしょう。

例えば次のような補助金があります。

・アスベスト対策費助成（東京都港区）

東京都港区では、アスベストを含有する建材を使用した建築物の解体費用の一部が助成されます。

共同住宅や事務所などのアスベスト除去工事に対し、費用の2分の1（最高200万円）までの補助金が支給されます。

また、アスベストの場合、調査でも補助金を活用できる場合もあります。

ただし、自治体によって補助金の有無や補助対象・助成額は異なるので、該当の自治体のホームページや窓口で確認するとよいでしょう。

相見積もりを取る

ビル解体の場合、見積もりは一社だけでなく複数の解体業者に依頼することが大切です。

一社では、金額が高いのかどうかも判断が難しいでしょう。

また、ビル解体は規模が大きいため業者によっても費用は大きく異なります。

複数社見積もりを取り、金額を比較することが重要なのです。

ただし、金額が極端に安すぎる業者には注意が必要です。

解体工事では人件費など一定の経費が掛かるため、相場が存在します。

相場よりも極端に安い場合、費用を抑えるために違法工事や不法投棄している可能性もあるのです。

業者を選ぶ際には、金額だけでなく実績や対応など総合的に判断するようにしましょう。

まとめ

ビル解体費用の目安や安くするコツをお伝えしました。

ビルの解体費用は1,000万円以上かかる場合あり高額になるものです。

しかし、ビルの構造や立地・条件などのよっても費用は大きく異なります。

ビル解体費用が高くなる要因や安くするコツを理解し、おおよその目安を把握したうえで複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。